=入試編= シセンセレクト
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なかったとしても、それは同じことだ。
ふと競争率の低い穴場スポットを映す定点カメラを見ると、複数のロボットに囲まれてぼうっと突っ立っている馬鹿を発見した。恐怖で足がすくんでいる――訳ではないな、と相沢は判断する。映像越しではあるが、あの少年からはそのような緊張の動作が感じられないからだ。
じゃあ何をしているのか――そう考えた刹那、少年が動いた。
(………特別速くはないが、迷いもない)
自分の個性に絶対的な自信を持っているのか……そう考えていた相沢だったが、次に映った光景に目を見開く。
少年がいきなり手に持っていたロボットの装甲を投擲した。明らかに武器として使っていたはずのそれをいきなり手放すなどセオリーハズレもいいところだ。しかし、そのあと相沢は更に舌を巻くことになる。
投擲された装甲が重装備の3Pロボットのロケットランチャー発射口に叩きつけた直後、爆発。装甲のせいで爆発したのではない。発射されたロケットランチャーが砲身を出る直前に装甲でふさがれたせいで内部爆発を起こしたのだ。逃げ場を失ったエネルギー内蔵する他の砲弾に誘爆した3Pロボットはその一撃で武器を破壊され大きく傷つく。
直後、爆発で跳ね飛ばされたはずの装甲を空中でキャッチした少年が破損した部分に力いっぱい装甲を突き刺した。そして間髪入れずにその場を離脱した瞬間――別のロボットが発射したランチャーがロボットに降り注ぎ、爆発。方法はどうあれ意図的に相手を破壊に追い込んだ場合はポイントになるため、このロボットの破壊は少年のポイントに加算される。
だが、問題はそこではない。
(あいつ、なんて無茶をしやがる。いや、それ以前に――なんだあの異常な先読み能力は?)
最初の投擲で上手くロケットランチャーを封殺していたが、そもそもロケットランチャーの発射に前兆はないから狙って誘爆させるのは音や信号の探知に特化した個性でもない限り不可能だ。しかもあの少年はそれによって起きる爆発で自分の武器がどこに飛ぶのか予めわかっていたかのように跳躍し、さらに一撃。そして、最後に少年の動きに誘導されたロボットの流れ弾で彼はまんまと3Pを獲得した。
攻撃のタイミング、爆発の影響、更にはロボットの敵味方識別機能がゆるいこととその発射タイミングまでもを完全に把握しなければ不可能な動き。にも関わらず、「決して超人的な動きではない」。まるでゲームのルーチンでそう動けば成功することを知っていてタイミングと順路だけ決めていたような、まったく無駄のない機動。
数いる受験生のなかで、それはあまりにも異質な戦い方だった。
(単なる探知能力の高さであれは不可能だな。かといってクソ度胸にしては冷静すぎる)
少なくともこの時点で相沢は少年の個性が直接戦闘系のものではな
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