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Three Roses
第八話 短い輝きその十一

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「お願いします」
「ですか、ですが」
「それではとは」
「私は何か思い違いをしているのでしょうか」
 迷い、若しくは不安をその顔に見せての言葉だった。
「夫と妻はです」
「その契約はですか」
「愛によって成るものであり」 
 そしてというのだ。
「子をなすことだけではないのでは」
「それは王家や権門では無縁の話です」
「そうなのですか」
「何度も申し上げますが」
「王家の者は、ですか」
「愛を求めるのではなく」
「子をですか」
 自分から言った、ここでは。
「求めるべきですか」
「そうです、ですから」
「そうしたことは求めずに」
「はい、お子を一人でも多くです」
「もうけるべきですか」
「そうです、お励み下さい」
「ではあの方は」
 自分をとだ、マイラは思った。だが。
 それはもう言わずだ、こう司教に言った。
「そうしたことも考えず」
「今夜もです」
「わかりました」
「はい、とてもよいことです」 
 司教はあくまでこう言うばかりだった。
「それでは」
「その様にしていきます」
 マイラは頷くだけだった、だが彼女の真意は誰にもわからずそしてそれを解消されることはなかった。その中で。
 セーラとマリアの縁談は進んでいた、そして。
「そなたが嫁ぐ国もだ」
「はい、島国もですね」
 大公は娘を呼び彼女も応えていた。
「落ち着いてきたのですね」
「そうだ、少なくともだ」
「私が入られる位にですか」
「落ち着いてきた」
 そうなったというのだ。
「だからだ」
「私もですね」
「行くのだ」
 こう言うのだった。
「あの国にな」
「わかりました」
 落ち着いた顔でだ、マリアは父である大公に答えた。
「それでは」
「その様にな、周りに然るべき者達もつける」 
 マリアを護り補佐をする者達をというのだ。
「幾人もな」
「有り難うございます」
「勿論セーラにもそうする」
 半島に嫁ぐ彼女にもというのだ。
「そうしてだ」
「あの国においてですね」
「幸せになるのだ、いいな」
「わかりました」
「いい具合に両国の婚姻反対派が失脚するか急死している」
「それは」 
 マリアはその話を聞いてすぐにわかった。
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