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Three Roses
第八話 短い輝きその九

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「若し労咳ならな」
「マイラ様もですか」
「長くない」
「そうしたお命ですか」
「そうやもな、そして妃に何かあれば」
 その時はというと。
「私と妃の間に子がなければな」
「我々はこの国を去るしかないですね」
「そうですね」
「その場合は」
「それしかないですね」
「そうだ、子があってこそだ」
 まさにというのだ。
「我々はここにいられるのだから」
「婚姻政策はただ夫婦になるだけではない」
「そこから子をなしてこそ長く続くもの」
「だからですね」
「何としても」
「そうだ、若し妃との間に子をなすことが出来なければ」
 その時のこともだ、太子は彼の側近達に話した。
「我々はこの国を去る」
「そしてですね」
「あらためてこの国への政治を考える」
「そうしないといけないですね」
「その時は」
「そうだ、相手がいなくては去るしかない」 
 妻、若しくは子がだ。
「その時はな」
「そうですね、では」
「お妃様の長寿を祈らねばなりませんね」
「何としても」
「あれが私の子を産むまではな」
 それが為にとだ、太子は言い切った。
「生きてもらわないとならない、そしてだ」
「出来るだけお子をもうける」
「そうしなければなりませんね」
「子は多い方がいい」
「そういうことですね」
「子は死ぬことも多い」
 成人するまでにだ、麻疹なり急な熱なりでだ。それもまたこの世のことであるからなのだ。
「多ければいい」
「全くですね」
「一人のお子でもその方が長生きされればいいですが」
「世の中そうそう上手くはいかないので」
「多いだけいいですね」
「どなたかが長生きされる可能性が高いので」
「何故我がロートリンゲン家がここまでなったのか」
 大陸の一領主に過ぎなかったが帝国の皇帝を代々出す帝室にまでなった、その理由は何故かというと。
「多産でありだ」
「代々長寿であられた」
「だからこそでしたね」
「当家は栄えていますね」
「婚姻政策で我々が残ってきたので」
「常に」
「他にもしてきたがな」
 口の端を歪めさせてだ、太子はそこから先は言わなかった。そして側近達もこのことは思わせぶりな笑顔で応えた。
 それでそのことはあえて言わずにだ、そしてだった。
 太子はあらためてだ、側近達に話した。
「婚姻政策は多産、そしてだ」
「長寿ですね」
「その二つがあってこそですね」
「だからだ」
 多産と長寿を備えてこそというのだ。
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