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魔女に乾杯!
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第五十八話

               第五十八話   裏山の秘密
 そこは学校の裏山であった。華奈子は丁度学校の裏手を指差していたのである。
「あそこに!?」
「うん」
 華奈子はにっこりと頷いた。
「前あそこに行った時に見たのよ、狐と狸を」
「そうなんだ」
「あそこなら餌も一杯あるし。いると思うよ」
「そうね」
 四人はそれを聞いてまた考え込んだ。
「可能性としては高いわよね」
「そう。いるとしたらあそこかも」
「それじゃあ調べてみる?」
「そうね」
 五人はあらためて頷き合った。
「思い立ったが吉日。行く?」
「そうしましょう」
「それじゃあ五人で」
「うん」
 こうして五人は放課後学校の裏山に行くことになった。五人は魔女の法衣に着替えてそこにやって来た。
「ここかあ」
「何か暫くぶりに来るわ」
「あれっ、そうなの?」
 華奈子は春奈の言葉にきょとんとした。
「あたしはいつも来てるわよ」
「そうなの」
「美奈子と一緒にね。美奈子よくここで笛や歌の練習するから」
「ふうん」
「美奈子ちゃんって努力家なんだ」
「そうね。あたしと違って。音楽のことなら時間を見つけて練習したり勉強したりしてるわよ」
「華奈子ちゃんは体育が得意だけれどね。美奈子ちゃんは音楽か」
「ふたごだけれどね。そういうところははっきり分かれてるのよ。顔は同じなのに」
「髪の毛の色の違いかしら」
「そうかも」
 そう言われるとそんな気もした。
「何かね、本当に昔から外見以外は全然違うって言われてるのよ」
「美奈子ちゃん大人しいしね」
「ううん、他にもね。何かと違うって言われるし」
「そうなんだ」
「そうなの。まあ慣れたけれどね」
 華奈子達はそんな話をしながら裏山を登って行く。そして頂上に辿り着いた。
「ここが頂上なのよね」
「久し振りに来るわね」
「よく美奈子と二人でここにいるんだけれどね。その時に見たのよ」
「ふうん」
 四人は華奈子の話を聞きながら辺りを見回していた。だがさしあたって何も見当たらなかった。
「ここにいるのよね」
「そうなんだけれど」
 だが今は何も見えない。何もいないように見えた。
「いないのかなあ、今は」
「どうなんだろ」
 五人は探してみた。だが狐も狸も見当たらなかった。諦めようとした。その時だった。

第五十八話  完


                  2005・10・22



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