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第五十六話
第五十六話 鎌砕き
石が浮かんだ。そして梨花の周りを囲む。
「見ていなさい」
「どうするつもりなのかしら」
紫の魔女は石が浮かんだのを見ても冷静なままであった。
「それで私の鎌を撃ち落すつもりなのかしら」
「そうしようとも思ったけれどね」
梨花は笑いながらそれに応じてきた。
「けれどそれじゃあまり面白くないからね」
「あら」
魔女もそれを聞いて笑った。
「それじゃあどうするつもりなのかしら、一体」
「それは来てみたらわかるわ」
梨花はこう返した。
「どう?来てみる?」
「そうね」
魔女も乗ってきた。
「じゃあ行くわよ」
そう言うと再び口に笛をあててきた。そしてまたあの曲を奏でる。
「来るわよ、梨花ちゃん」
「わかってるわ」
梨花は四人の言葉に頷いた。
「だから。安心してて」
「うん」
四人は梨花を信頼することにした。見守った。そこに鎌が一斉に襲い掛かってきた。
「さあ、どうするのかしら」
「決まってるじゃない」
梨花は不敵に笑ってこう言い返した。
「こうするのよ」
「なっ!?」
何と梨花の周りで石を旋回させた。それで襲い掛かって来る鎌を全て撃ち落したのであった。
「どうかしら、これで」
「やるわね」
紫の魔女はそれを見て笑みを消した顔でこう言った。
「流石にね。もうあんたの魔法にもそろそろ慣れてきたわ」
「それはどうかしら」
だが魔女はそれでも不敵なままであった。
「私はね、まだまだ曲を知っているのよ。曲の分だけ魔法があるの」
どうやら彼女の魔法の源は音楽であるらしい。笛を吹くのはこの為か。
「じゃあそれを見せてくれないかしら」
「そうね」
魔女は相変わらず余裕の笑みを浮かべたままであった。だがここは退いた。
「生憎だけれど今は止めておくわ」
「あら」
「今回はどうも貴女達にしてやられてばかりだったし。素直に負けを認めるわ」
「いいのかしら、そんなに素直で」
「今度は勝つ自信があるから」
自信に満ちた声であった。
「今は退くわ。それじゃあ」
タミーノとフィガロを連れた。そして天に舞い上がり何処かへと消えて行ってしまった。
「いっちゃったね」
「ええ。けど」
今回は勝つことができたが紫の魔女の力はまだまだわからなかった。そして使い魔達もいた。五人はまだまだ魔女に敵わないと思わざるを得なかった。
第五十六話 完
2005・10・20
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