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第五十五話
第五十五話 死の鎌
突如として空中に鎌が姿を現わした。そしてそれは一つではなかった。
無数の鎌が宙に漂っていた。そして紫の魔女の周りを覆っていたのだ。
「鎌!?」
「まさかそれが」
「ええ。そのまさかよ」
紫の魔女は子供とは思えない程の凄みのある笑みを五人に返した。
「さあ梨花さん、行くわよ」
「その鎌で来るのね」
「そうよ」
魔女は頷いた。
「この鎌はそう簡単にはかわせないわよ。覚悟しなさい」
鎌が飛んで来た。そして梨花に襲い掛かって来た。
「くっ!」
梨花はそれを持ち前の運動神経でかわした。五人の中では華奈子が最も運動神経は優れているが梨花のそれもかなりのものであったのだ。
何とか鎌をかわしていた。だがそれも限度がある。紫の魔女は笛を吹いて鎌を操っていればいいだけであるが梨花は身体全体を使わなくてはならないのだ。次第に疲弊が見えてきていた。
「さあ、何時までかわせるかしら」
「くっ」
「私の鎌は何時までも貴女を狙うわよ。そんな激しい動きが何時までもできる筈はないわよね」
その通りであった。梨花の息が次第に乱れてきていた。
「時間が経てば貴女は動けなくなってくる。私はそれを待てばいいのよ」
「梨花ちゃん」
「駄目よ、華奈子ちゃん」
行こうとする華奈子を美樹が制止した。
「けど」
「梨花ちゃんならやれるわ、絶対に」
「そうね」
春奈がそれに頷いた。
「まだ私達が行っていい時じゃないわ、まだ」
「そうなの」
「まだ梨花ちゃんは動けているから」
美樹は今度は赤音に対して言った。
「私達も動く必要はないわ」
「わかったわ、それじゃあ」
「まだ動かない」
「有り難う、四人共」
梨花は鎌から目を離しはしなかった。だが四人の話を聞き鎌を見据えたままそう声を送った。
「私は絶対やるから。安心してて」
「うん」
「いいお友達を持ったわね」
魔女はそれを聞いて梨花にそう声をかけてきた。
「けれど。貴女が動けなくなるのはもうすぐね」
「それはどうかしら」
梨花は言い返した。
「わかったわ、貴女の鎌を壊すやり方は」
「何ですって」
一瞬だけだがそれを聞いて魔女の声の色が変わった。
「どうやるつもりなのかしら」
「御覧なさい」
梨花はまずは間合いをとった。
「これが私のやり方よ」
そして魔法を放つ態勢に入った。梨花の周りが動いた。
第五十五話 完
2005・10・11
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