第62話
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表情でハイシェラに念話を送り、セリカの念話にハイシェラは口元に笑みを浮かべていた。
「あ………」
「ディーター市長……」
「……そう言っていただけると胸のつかえが取れた気がします。」
一方ノエルは不安そうな表情で声を上げ、ロイドは複雑そうな表情でディーターを見つめ、エリィは静かな笑みを浮かべて言った。
「しかし、その独立の是非を問う住民投票ですが……もし賛成が上回った場合、本当に独立できるものなんですか?」
するとその時ティオは疑問に思った事を口にした。
「いや、住民投票自体に独立を可能にする決定力はない。ただ、その結果は必ずや諸外国への意思表示となるはずだ。そうして徐々に国際世論を形成し、3大国から何とかして『独立』をもぎ取っていく……それが私のシナリオだよ。」
「なるほどねぇ……」
「こう言っちゃなんだけど相当、険しい道のりだよね?」
ディーターの話を聞いたランディは目を閉じて頷き、ワジは口元に笑みを浮かべて尋ね
「ワ、ワジ君……!」
ワジの言葉を聞いたノエルはワジを睨んだ。
「いや、君の指摘通りだ。地政学的な観点から言ってもクロスベルの国家独立というのはかなり困難な状況にある……だが、人間というのはただ情勢に流されるだけの生き物ではないと思うのだ。苦境にあっても理想を追求し、誇り高くあらんと指向する………そんな力と可能性を秘めているように思えるのだよ。」
「……おじさま………」
「誇り高くあるための力と可能性、ですか………」
ワジの指摘に頷いた後答えたディーターの話を聞いたエリィは口元に笑みを浮かべ、ロイドは目を閉じて考え込み
「………………………」
「ふむ……なるほどね。」
リーシャは複雑そうな表情で黙り込み、イリアは納得した様子で頷いた。
「今後、クロスベルが歩く道は困難なものになるだろう……むろん我々大人たちは粉骨砕身の覚悟と努力でその道を切り拓くつもりだ。だが、それに続いて高みを目指していくのは君達若者の役目だと思うのだ。」
ディーターは席を見渡して深々と頭を下げ
「どうか君達も――――君達ならではのやり方でクロスベルの明日に尽くして欲しい。」
静かな笑みを浮かべて言った。
その後、晩餐会が終わり、ホテルの3Fまで戻った後……不思議な高揚感に包まれながらも遊び疲れていたロイド達はそれぞれ早めに休むことにした。そして…………………
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