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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十一話 後継者
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うな表情で元帥に問いかけた。
「良いのか、それで」
「構いません」
「ならば、私には異存が無い、ゲルラッハ子爵、どうじゃな?」
「問題ありません」
この二人が良いと言ったものを私が覆す事など出来るわけもない。リヒテンラーデ侯の“良いのか”、あれは、それで取り込めるのか、利用できるのか、そういうことだろう……。
「有難うございます。フェザーンは必ず、帝国にとって信頼できる存在になることをこのボルテックが約束いたします」
ほっとしたのだろう。ボルテックの表情に安堵が見える。
そんなボルテックを見ながらヴァレンシュタイン元帥が声をかけた、穏やかに微笑みながら。
「ボルテック弁務官、今貴方は帝国にとって信頼できる存在と言われましたが、その帝国とは誰の帝国です?」
「?」
「ルパート・ケッセルリンク補佐官は、アントン・フェルナー准将と接触していたそうですが」
「!」
ボルテックの表情が強張った。一方、元帥は相変わらず微笑を浮かべている。ルパート・ケッセルリンク、新任の補佐官だが元帥は知っているのか? 先程は知らなさそうであったが。それにアントン・フェルナー准将?
「ヴァレンシュタイン、アントン・フェルナー准将とは誰かな?」
「ブラウンシュバイク公の部下ですよ、リヒテンラーデ侯。私の依頼でフェザーンに行っていました」
「!」
部屋に緊張が走る。全員がヴァレンシュタイン元帥を見た。元帥は穏やかに微笑を浮かべたままだ。ルパート・ケッセルリンクがブラウンシュバイク公の部下と接触した。しかし、その部下は元帥の依頼で動いている、どういうことだ?
「フェザーンで同盟の弁務官事務所と接触をしていました。同盟軍を帝国に攻め込ませるためです。彼はとてもいい仕事をしてくれましたよ」
元帥はいかにもおかしそうに笑った。一方ボルテックの表情はますます強張る。
「……」
「彼とギュンター・キスリング、ナイトハルト・ミュラーは私の士官学校時代の同期生で親友です。ギュンターは先日、ブルクハウゼン侯達を捕らえ、フェザーンの弁務官事務所を制圧しました。ナイトハルトは私の元で一個艦隊を率いています。有能な艦隊司令官です」
つまり元帥はブラウンシュバイク公の元にも自分の味方を入れている。公の動きは元帥に筒抜けという事か。しかし、何故それを明かす? ボルテックは必ずブラウンシュバイク公に伝えるだろう。それではフェルナー准将が危うくなる。
「ボルテック弁務官」
「何でしょうか、ヴァレンシュタイン元帥」
「貴方は将来、フェザーンの自治領主になりたいと考えていますか?」
微妙な質問だった。この場でなりたいと言えばルビンスキーへの反逆の意思ありと取られかねない。いやそのように取ってルビンスキーとボルテックの間を裂き
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