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第五十二話
第五十二話 火と水
木の葉が迫る。だが五人はそれに対してどうしようもできそうになかった。戸惑っている間にもその木の葉が迫ってきているのだ。
「どうしよう」
赤音が困った声を出した。
「このままじゃ私達」
「いえ、大丈夫よ」
だがそんな彼女に春奈が言った。
「木の葉が相手だから。華奈子ちゃん」
「何?」
「わかってるわよね」
「・・・・・・って何が?」
「もう、何言ってるのよ」
春奈はとぼけた様子の華奈子に対して呆れた声を返した。
「華奈子ちゃんは火の魔法使えるでしょ。だから木の葉を燃やせるじゃない」
「あ、そうか」
華奈子は言われてようやくそれがわかった。
「それじゃあやるね」
「ええ、お願い」
華奈子はそれに従い火を放つ。それで木の葉を次々に燃やしていった。だがそれで終わりではなかった。
「今度はわたしも」
春奈も動いた。そしてステッキを振ってシャボンを出す。
「えい!」
それを木の葉に向かって放つ。すると木の葉はシャボン玉に当たって溶けていった。こうしてフィガロの木の葉は瞬く間になくなってしまった。
「私の木の葉も」
「甘いのよ、あんた達は」
華奈子は二匹の使い魔達にそう言った。
「この程度じゃ。あたし達に何もできないわよ」
「ムムム」
「もういいわ、タミーノ、フィガロ」
上からまた紫の魔女の声がした。
「御主人様」
「凄いわね。タミーノとフィガロの術をこんなに簡単に」
「春奈ちゃんがいなかったらどうしたらいいかわからなかったけれどね」
華奈子がそう言い返す。
「けれど何とか上手くいったわ。どう?」
「お見事」
魔女はくすりと笑ってそう言った。
「けれどこれで終わりじゃないわよ」
「今度はあんたね」
「ええ」
頷いた。そして前に出た。
「なっ」
箒もなしに宙にいた。そのままの態勢で宙に立っている。浮遊の術だった。
立ったままゆっくりと降りてきた。そして五人の前に降り立った。樫の木の前に紫の法衣に身を包んだ少女がやって来た。
「今度は私よ。いいかしら」
「拒む理由はないわ」
華奈子は言った。
「さあ来なさいよ」
「待って」
だがそこで別の声がした。そして前に出て来た。
第五十二話 完
2005・9・30
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