第十幕その四
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「こうしてね」
「凄いですね」
カルロスも驚くことでした、このことは。
「こんなこともですね」
「オズの国ではあるんだよ」
「不思議ですね」
「そう、不思議なことがね」
まさにと言う王子でした。
「起こる国だからね」
「それも普通に」
「外の世界で考えられないことが起こるんだよ」
「そのことは知っていましたけれど」
「驚いたね」
「はい、かなり」
「僕達もいつも驚いているよ」
そのオズの国の中にいてもというのです。
「僕達から見ても不思議なことばかり起こるからね」
「だからなんですね」
「そう、驚いているよ」
実際にというのです。
「いつもね、君達と同じだよ」
「そうですか」
「ただ、この牧場のことはもう知っていたから」
「驚かれないんですね」
「そうなんだ」
そういうことだとです、王子はカルロス達にお話するのでした。
「だからだよ」
「わかりました、そのことも」
「僕もはじめて見たよ」
ここでボタンも言ってきました。
「この牧場は」
「ボタンもなんだ」
「うん、お菓子の牧場なんてね」
「そうなんだね」
「面白いね」
「ほっほっほ、勿論どれだけでも食べてよいぞ」
王様は皆にこう言ってきました。
「ここのお菓子達をな」
「そうしていいんですね」
「お菓子は食べる為にあるものじゃ」
だからというのです。
「それでじゃ」
「僕達もですね」
「食べていいんだね」
「うむ」
その通りという返事でした。
「思う存分食べるのじゃ、皆でね」
「わかったよ、けれど」
ボタンは王様のお言葉に静かに頷きました、ですが。
王様にです、こうも言ったのでした。
「アイスクリームもあるね」
「美味しそうじゃろ」
「うん、どうしてアイスが溶けないの?」
ボタンがここで気になったのはこのことでした。
「どうしてなの?」
「ふむ、そのことか」
「うん、アイスって暖かい場所だと溶けるのに」
オズの国は暖かいのに、というのです。
「どうして溶けないの?」
「溶けないアイスなのじゃよ」
「ここにあるアイスは」
「オズの国にはそうしたアイスもあるのじゃ」
「そうだったんだ」
「何しろここは不思議の国じゃ」
このことを指摘するのでした。
「だからな」
「そうしたアイスもあって」
「冷たいままで溶けないのじゃ」
「へえ、そうしたアイスなんだね」
「美味いぞ」
その牧場の上で跳んだり跳ねたりしているアイス達もというのです。よく見ればお口はないのに草を食べています。
「このアイスもな」
「そうなんだね」
「では食うか」
「うん」
ボタンは王様の問いに微笑んで答えました。
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