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第五十話
第五十話 妖しい霧
「これは!?」
「皆気をつけて」
驚きの声を漏らす四人に梨花が言った。
「絶対に何かあるとしか思えないから」
「ふふふふふふふふふふふ」
霧は次第に濃くなっていく。その中でタミーノの笑い声だけが聞こえる。
「私の術は少し違いますよ」
「どういうこと!?」
「それもすぐにわかることです」
霧は完全に五人を包んだ。彼女達はその中で有り得ないものを見ていた。
「これって・・・・・・」
彼女達の目の前に紫の魔女が立っていた。それも一人ではない。
何人も。どれだけいるのかわからない。そして彼女はそれぞれ五人を見ていた。ゆっくりとその手をあげる。
「まさか」
そのまさかであった。攻撃を仕掛けようとしていた。五人はそれに対して攻撃を返そうとする。春奈以外は。その春奈が言った。
「待って、皆」
「春奈ちゃん」
「どうしたの?」
「迂闊に攻撃しちゃ駄目」
春奈は他の四人にそう言った。
「えっ、けど」
「これは幻術よ、多分。さっきの紫の霧がそうなのよ」
「じゃあ」
「ええ。反撃しても何にもならないわ。そして向こうの攻撃も」
「幻ってわけね」
「かって反撃しても下手しても何にもならないわね」
「そう思うわ」
春奈はそう答えた。
「それじゃあこっちも考えた方がいいわね」
梨花が言った。
「けれどどうしたら」
「霧なのよね、これって」
「まあそうだけれど」
四人は春奈の言葉に応えた。
「それじゃあ光を使えば」
「私の出番?」
「そして霧を払う為に風も」
「じゃあ私も」
「それじゃあやる?美樹ちゃん」
「うん、赤音ちゃん」
二人は頷き合った。そしてほぼ同時に魔法を放った。
「えいっ!」
光と風がそれぞれ霧、そして紫の魔女に向かった。赤音は魔法を次々に魔女に向けて放つ。美樹は霧に向けてだ。その効果はすぐに出た。
魔女の姿は光に照らされて消えていった。まるで影が消えるように。そして霧も風により全て払われてしまった。
「上手くいったね」
「やりますね」
タミーノは二人の魔法により自分の術が破られたのを見て素直にそう賞賛した。
「折角貴女達を消耗させて頂こうとしたのに」
「そうはいかないわよ」
「そうそう、残念だったわね」
それに対して赤音と美樹がそれぞれ言う。これでタミーノの術は破れた。
だがそれで終わりではなかった。今度は狸のフィガロが出て来た。
「それでは今度は私が」
彼も術を放ってきた。それは次第に姿を現わしてきた。
第五十話 完
2005・9・28
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