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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
52.第三地獄・幽明境界
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ように細かい網目を巻き付けるようにユグーの手を包み込んだ。念のために複合構造にして耐火祝福を施されたコートの繊維も組み込んでおく。

「――生命力が簒奪サレルような感覚がある」
「鎖の維持に吸い取られてるだけだ。お前さんなら問題あるまい?さ、これで殴れるはずだぜ」
「フム………」

 手のひらを閉じ、開き、嵌められた鎖の手甲の具合を確かめたユグーは、感謝の言葉一つなく地面を踏み割る速度で踏み込んで弾丸のように黒竜へと駆け出した。オーネスト並みに話を聞かない猪突猛進に「チッ」と舌打ちしたアズはすぐさま駆け出して『徹魂弾』を構える。

「オラ、こっち見なぁッ!!」

 アサルトライフル二丁を両手撃ちなど現実では馬鹿者の所業だが、彼の銃はあくまでイメージとアズの魂で構成された存在であり、弾丸もアズの魂を使ったもの。本物の銃とはまるで仕様が違うため、そんな滅茶苦茶な射撃でアズは黒竜の注意を引いた。

 いくら効果が薄いとはいえ命中した物体を死に至らしめる弾丸を好き好んで浴びたい存在などいない。黒竜は弾丸の発射を感知するや否や、広範囲にわたるブレスを吐き出した。ブレスと弾丸が接触してボボボボッ、と炎に穴が開く。その穴でおおよその弾道を察知した黒竜は身を捻りながら自らの翼を左右交差させるように振り抜く。

 瞬間、真空の爆弾にも匹敵する力で両翼が纏った煉獄の熱波が正面に放出された。

 罅割れた大地に散乱する岩や土煙ごと灰燼に帰するが如き空間のうねりは、蒼い破滅の津波。直撃を受ければ一撃で骨まで炭化する超高熱の壁となってアズの下に押し寄せる。ここまで広範囲の技で、しかも空気の押し出しトセットとなると『徹魂弾』だけでは防ぎきれない。このままだとアズはオーネストたちを守り切れない。

(――ま、俺の知ってるオーネストならもう完璧に態勢整えてる頃だろうけど)

 瞬間――アズの背後から魂さえ凍てつかせる極寒の冷気が空間を切り裂くかの如く降り注ぎ、超高温と超低温が衝突した。急激な空気の膨張と収縮が瞬時に繰り返されたかのように凄まじい強風が吹き荒れるのを地面に鎖を打ち込んで耐えながら、俺は後ろに向かって叫んだ。

「おいオーネスト!やるんならやるって俺に言っておけよ!!一瞬吹っ飛ぶかと思ったわ!!」
「お前なら吹っ飛ばんだろうと信用してやったんだ、有り難く思われこそすれ、文句を言われる筋合いはないな――畳みかけるぞッ!!」
「反撃開始ってかぁッ!?」

 体中が警告の痛みを発していた超高熱の空間が一気に冷却され、肺に吸い込む空気が随分と心地よいものに変化する。更に一本ポーションを飲み干したアズは、まるで背後に目がついているかのように疾走するオーネストにぴったり合わせて移動を開始する。

 その二人の上空に――『雪の化身』がい
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