第12話
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〜ノルド高原〜
「……ありがとう。本当に、いくら感謝してもしきれないくらいだ。」
馬を走らせているガイウスはリィン達を見回して感謝の言葉を述べた。
「お、大げさねぇ。」
「うふふ、同じクラスメイトなのだから当然でしょう?」
「フン……まあ色々とこだわりがあるみたいだな。」
「故郷の危機を食い止めたい……単にそれだけじゃないんだろう?」
アリサ達がそれぞれ答えている中、ある事に気付いたリィンはガイウスに尋ねた。
「……ああ。―――中将の推薦を受けて士官学院に入ったことにも関係していてな。誰もがそうだと思うが……オレは故郷の地を愛している。風鳴る高原を、高き山々を、蒼き穹を。日の出の神々しさを、夕陽の切なさを、全てを許してくれるような綺羅の夜空を。ノルドの地の全てを愛してるんだ。」
「………そっか……」
「わ、私も故郷のルーレには思い入れがあるけど……」
故郷を愛している言い切ったガイウスの答えを聞いたリィンは頷き、アリサは驚きの表情でガイウスを見つめた。
「しかし……ならばどうしてこのノルドの地を離れたんだ?異国の地にある士官学校……正直、お前のような男が故郷を離れて入学したのが不思議なくらいだが。」
理想の家族とも言えるラカン達と共に生活し、故郷を愛するガイウスの留学を疑問に思ったユーシスは不思議そうな表情でガイウスを見つめて尋ねた。
「フフ、疑問も無理はない。俺自身―――明確な答えが出せているわけでもないからな。だが、オレの幼い頃、共和国軍の基地が東に築かれ……帝国軍が監視塔を建ててからそれは少しずつオレを不安にさせた。……教会の巡回神父からはゼムリア大陸の歴史を色々と教わった。そして、大国同士の争いで消えた民族がいかに多いかに驚かされた。そして”導力革命”――――あらゆる生活と文化に影響し、”時間”と”距離”の概念を大幅に覆してしまったあの発明……それを知った時、気付いてしまった。オレが愛しているノルドの地が平穏であり続ける保障はない……いずれ”外”の大きな流れに巻き込まれる可能性があり得ると。」
「…………………………」
「……驚いたな。そこまで考えていたのか……」
「―――なるほどね。ガイウスお兄さんが学院に来た理由は大切な故郷をとりまく”外”を知る為ね?」
ガイウスの話を聞いたアリサとリィンがそれぞれ驚いている中レンは感心した様子で訊ねた。
「ああ……きっかけは多分そうなんだろう。あの時のオレは、何か得体の知れない予感に怯え、焦っていたんだと思う。中将と知り合ったのをきっかけに”トールズ士官学院”の事を知って……そこに推薦してもらえると聞いて気付いたら申し出に飛びついていた。……帝国がどういう所なのか
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