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第四十八話
第四十八話 魔女の僕達
「お久し振り」
紫の魔女は五人を見下ろす状況でそう挨拶をしてきた。
「お元気そうで何よりだわ」
「あんたこそね」
早速それに華奈子が言い返す。
「暫く見ないと思ったら。何をしてたのよ」
「ちょっと仲間を探してたのよ」
「仲間!?」
「そうよ」
紫の魔女はそれに答えるとその手に持つ笛を吹きはじめた。それは今まで何処かで聴いたことのあるような懐かしい感じの曲であった。
「これは」
「アルバンベルクの曲よ」
魔女は美樹にそう言葉を返した。
「森の水車。いい曲でしょ」
「確かに」
「何か落ち着く曲ね」
赤音と春奈もそれに頷いた。
「いい曲だけれどこれには何かあるわね」
「何がかしら」
そう言った梨花に顔を向けてきた。
「何かわかったのかしら」
「わからないわ。けれどね」
それに華奈子が言う。
「何かはわからないけれど何かあるわ。あんたのことだから」
「また変なこと言うわね」
「今までがそうだったからね。さあ、今度は何なのよ」
「だから言ったでしょ」
華奈子に笑みを返した。白銀の月の光にその白い顔が浮かぶ。その顔はまるで人形の様に整っていた。
「私の仲間よ。これで呼んでいるのよ」
「仲間!?」
「けれど魔女に仲間なんて」
「じゃあ紫の魔女の仲間」
「仲間っていっても人間とは限らないわよ」
梨花は他の四人に対して言った。
「人間とはね。これでわかるでしょ」
「それってまさか」
「気付いたみたいね」
そこで梨花の問いに答える。
「そのまさかよ。さあ出ておいで」
「!?」
魔女の背中に何かが跳んで来た。そしてそのすぐ下にある木の枝に着く。
「私の友達」
「友達!?」
「あれが」
「うふふ」
紫の魔女は五人の反応を見て笑っていた。それを楽しんでいた。
「どうかしら、これが私の友達よ」
そこには二つの影があった。そして五人を見下ろしていた。
四つの目が暗闇の中に光る。それはまるで人魂の様であった。
第四十八話 完
2005・9・25
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