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第四十七話
第四十七話 魔女、現れる
五人の危惧はあたった。彼女達のもとに紫の魔女から手紙が送られて来たのだ。塾の教室に行くと華奈子の机に置いてあった。薄い紫の紙だった。
「やっぱり来たわね」
華奈子はそれを見て言った。そしてその手紙を手に取ると他の四人に顔を向けた。
「来たわよ」
「やっぱり」
「予想通りね」
他の四人もそれに頷いた。それから五人はその手紙を読みはじめた。
「今夜か」
「場所は学校の裏山。今度はまた別の場所ね」
それぞれ言う。そして手紙をしまった。
それから何事もなかったように授業を受けて塾を後にする。そしてそのまま学校の裏山に向かった。
「それにしても何でここなんだろ」
「何かあったの、華奈子ちゃん」
裏山の暗い夜道を歩いている時にポツリと呟いた華奈子に春奈が尋ねた。
「うん、前にここで美奈子と一緒に色々とお話したから。ちょっと思い入れがあるのよね」
「そうだったの。けれどそんなのは紫の魔女には関係ないよ」
「そうなのよね。何か無粋よね、紫の魔女も」
「無粋じゃないかも知れないわよ」
しかしそれに美樹が疑問を呈した。
「というと?」
「若しかして華奈子ちゃんのそれを知ってるかもしれないわよ」
「それじゃあ心理作戦!?」
「有り得るわ」
美樹は梨花の問いにも頷いた。
「可能性としてね」
「ううん」
「だとすると危ない相手ね」
「うちのお姉ちゃんが言ってたわ。危ないのは男だけじゃなくて女もだって」
「それは関係ないんじゃ?」
「そうかなあ」
「赤音ちゃんのお姉ちゃんはまた特別よ。何か付き合ってる男の人いつも違うし」
「お姉ちゃんが言うにはそれも魔法なんだって」
「そうなの?」
「うん。男を惑わせるのも魔法だからって。よくわからないけれど」
「そんなものかしら」
「お姉ちゃんが言ってるから間違いじゃないと思うけれど」
「だったらいいけれど」
そんな話をしているうちにその裏山の頂上に着いた。しかしそこに紫の魔女はまだいなかった。
「いないのかな」
「そのうち来ると思うよ。彼女焦らすの好きだし」
「ああ、そうかも」
「だったらちょっと待ってみるか」
「その必要はないわ」
だがここであの声がした。
「あら」
「もう来たのね」
「ええ、今ね」
樫の木の上に彼女が現われた。その手にあの横笛を持って。まるで風の様に現われた。
そして五人を見下ろしていた。まるで女王の様に。
第四十七話 完
2005・9・24
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