機動戦艦ナデシコ
1405話
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今回の月ドック襲撃の件は、賊軍に取っては天王山に近い。
それなのに、賊軍の中で最大派閥の筈のクリムゾングループが戦力を用意していないとは思えないんだが。
「円、敵は本当にこれだけか? 他にいないのか?」
「え? うん、どうだろ、今はドックの中にいるからレーダーも限定的だけど、他に敵がいればドックの方から教えてくれるんじゃないの?」
「……ナタル、早いところここから出た方がいい。もし俺の予想が正しければ……」
最後まで言わずとも、根っからの軍人であるナタルには俺の言いたい事が分かったのだろう。表情を引き締めて口を開く。
「分かった。円、すぐに管制室に連絡を。シロガネもすぐに出撃する」
「分かったわ」
ナタルの言葉に即座に反応する円。
この辺りは既に阿吽の呼吸……というのはちょっと言い過ぎだが、慣れているやり取りだと言ってもいい。
ナタルがシャドウミラーに所属してから数年、シロガネの艦長として共に過ごし、訓練してきただけにお互いの呼吸は理解しているのだろう。
円の隣では美砂が何も言わずに出航の準備を進めている。
こちらもナタルが何も言わずとも次々に指示をこなしているのだからさすがと言ってもいいだろう。
「管制室から出撃の許可が出たわよ」
管制室と通信していた円が、そう報告する。
予想以上に素早い許可だが、エリナが俺達の指揮権は向こうにないと言っていた以上、それはおかしくないのだろう。
向こうにとっても、シャドウミラーが戦いに参加するのは歓迎こそすれ困る事はないのだから。
「よし、ではシロガネ出航する!」
その声と共に量産型Wがシロガネを操舵し、ドックから出港する。
そして宇宙空間に出ると同時に……
「ちょっと!」
オペレーターとして周囲の様子を探っていた美砂が、悲鳴のような声を出す。
「何があった!」
ナタルの口から出る声に、美砂が慌てて言葉を紡ぐ。
だが、それよりも映像モニタへと視線を向けた俺はそこで繰り広げられている光景に唖然とするしかなかった。何故なら……
「さっきネルガルドックから出撃した5隻の艦が同士討ちをしているわ!」
そう。美砂の言葉通りの光景がそこに映し出されていたのだから。
映像モニタには、何故か味方同士で撃ち合っている艦の姿が映し出されている。
いや、それどころではない。エステバリスや戦闘機といった討伐軍側の戦力も同士討ちを行っている。
討伐軍側が二つの勢力に分かれ、戦略も何もなく戦っている状況。
「討伐軍側に向こうの手の者が潜んでいた? ……いや」
ナタルが思いつきのように呟くも、すぐに首を横に振って自分でそれを却下する。
「だろうな。もし本当に賊軍の手の者が潜ん
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