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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第12話『奇妙な平等者』
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その傷跡が残っている。
 母なる大地を抉り取り、星の表面を喰らったその存在は、まさしく『星喰い(アルエガ)』。かつての神話戦争で、人族の英雄達に壊滅的な傷跡を残した魔王『アル・エガ』――その再来までとは行かずとも、十分に絶望的な現状を齎したその存在は、まさしく災厄。
 半ば崩壊しかけた戦線を、流石というべきか『対魔傭兵(かれら)』はすぐに立て直して対抗したらしい。その『遺産』を以ってアルエガを一時的に追い返した。

 それでも、致命傷は与えられなかった。

 その後アル・エガの被害はみるみる増加していき、遂には幾つかの村が壊滅するという致命的な被害を受けた。そして当の『星喰い(アルエガ)』の目的は未だ解明されておらず、それ故に出現頻度も時間も標的も何もかもが不明。肝心の戦闘力すら、交戦したとはいえ未知数。全く馬鹿げた敵だと頭が痛くなる。

「――以上が、俺が聞いてきた『星喰い(アルエガ)』の話だよ。怖いったらありゃしないねぇ」

「……悪いけど、『星喰い(アルエガ)』なんて単語一回も聞いたことないし、提供できる情報は何一つないわよ」

「ありゃ、バレた?」

「当たり前にバレるわよ」

 悪びれもしない軽口にジト目で答えるメイリアの視線を飄々とした態度で受け流し、クーラルは話の途中に出されたコーヒーを口に含む。それを飲み込むと彼は肩を竦め、開き直ったようにペラペラと己の目的を明かしていった。

「ま、ナンパってのは半分冗談の半分本気って所だ。冗談の方は今言った通りの『星喰い(アルエガ)』の情報収集ってのもある。服装を見るにどうやら旅の人っぽかったもんでね、何か知らないかとナンパには入ったわけさ」

「服だけで旅してる人が分かるものなの?普通の服だと思うけど」

「少なくともこの周辺の街にそんな服は売ってないし、これまでこの街にお嬢さん方が訪れた記録は無い。そりゃあ旅の人だろうよ」

 なんでも無いかのように言ってのけるクーラルに、メイリアの警戒心がさらに高まっていく。その言葉はつまり、この目の前の男が『これまで街に訪れた人物の記録を自由に閲覧できる立場にある』ということに他ならない。
 それほどの高い立場の者となると当然ながら、ヴァリアゾードからの連絡が通っている可能性がより高くなるのだ。これ以上、スィーラに人から裏切られるような事態を招き入れることは出来ない。それだけは、なんとしてでも避けなければならない。

「……お嬢さんや。なんでそんなに警戒されてるかは分かんないけども、肩の力抜かないかい?疲れるだろう、それ」

 ――この男は、妙な所で鋭い。というよりは、人の感情をよく知っている……と言えば良いのか。

 抜けているように見えて、的確にこちらの思惑を見抜いてくる。何も考えていな
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