暁 〜小説投稿サイト〜
魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第12話『奇妙な平等者』
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ってのはまたいい名前だ。――で、そんな笑顔が可愛らしい君はさっきから喋ってないけど、喉の包帯から察するに喉に怪我でも負ったのかい?何ならウチに回復系統のそこそこ高位な魔術師が居るけど」

 ──いきなり返答に困る所を……

 メイリアが内心で舌打ちをすると同時に、メイリアもまた自分の喉に手を当ててオロオロとしている。チラチラと横目でこちらを見ている様子から察するに、どう返答したものか迷っているらしい。返答以前に、喋れない彼女には自身の事を伝える事は出来ないのだが。

「……ぁ、ぇ……ぉ……」

「……喋れないんで……っと、ゴホン。……マトモに喋れないのよ、その子。昔に魔獣に襲われた時に喉を潰しちゃって、近所に治癒術師も居なかったからそのままにしてたら取り返しが付かないところまで来ちゃって……」

 無論、口にした内容の半分以上……というよりは殆どがデマである。唯一合っていると言えば、『マトモに喋れない』という点のみ。平然と嘘を吐いてみせるメイリアに、スィーラが幼い内心ながらも苦笑する。

「……へぇ、そうかい。それは悪い事を聞いた」

 クーラルが苦い顔をして胸の前で手を合わせ、スィーラに向けて頭を下げる。が、直ぐに上体を起こすと「それはそれとして、声は掠れてても綺麗じゃないか」とその右腕を上げてサムズアップ。少し照れたように顔を赤くしたスィーラもつられて腕を持ち上げ、戸惑いながらもそのジェスチャーを真似てみる。その様子にニカッと笑ったクーラルは、「空気を変えよう」と近くに居たウェイトレスを呼ぶ。

「何か飲むかい?」

「さっき誘われる前に結構飲んできたし、いいわ。スィーラは?」

 話を振られたスィーラが、ふるふると首を横に振る。彼女もメイリアと共に多少飲んでいた為、多少飲まなくても大丈夫だろう。
 クーラルは「オーケー」と一言答えると、ウェイトレスに手短に注文を頼む。注文を受けたウェイトレスが早足に厨房へと向かい、それを軽く頬杖をついて見送ったクーラルが軽く伸びをして、二人の少女へと視線を戻した。

「さて、それじゃあ世間話でもしようか」

「いきなり漠然としてるわね」

「うん?じゃあ下ネタかエロトーク?」

「少なくとも女性相手に振る話題に出す二択じゃない以前にっ、実質変わんないでしょうがその二択っ!」

「そりゃそうだ」

 ふざけて見せるクーラルに調子を乱され、心に備えた警戒も馬鹿らしくなってくる。が、最低限の警戒はいかなる時も忘れない。が、一応これからの事も考えて情報収集もしておいた方がいいだろう。ジークと再度合流してからの事も考えると、なるべく多くの情報が必要になってくる筈だ。
 話を促すメイリアの様子に笑みを浮かべて一つ頷いたクーラルは、再度口を開いて彼の言う『世間話』を
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