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第四十六話
第四十六話 魔女の僕
近頃なりを顰めていた紫の魔女がまた出て来ているという噂が町で広まっていた。彼女のことはもう町中で噂になる程であったのだ。そこまで有名になっていたのである。
「それで変な話を聞いたのよ」
それは当然ながら華奈子達五人の耳にも入っていた。五人はまだ先生が来ていない塾の教室でそのことについて話をしていた。
「何でもね」
「うん」
梨花が中心になって話をしていた。
「使い魔を連れているらしいのよ」
「それって普通のことじゃないの?」
華奈子はそれを聞いて言った。
「魔女なんだから。当たり前でしょ」
「わっかんないかなあ」
梨花はそんな華奈子の言葉を聞いて呆れた声を出した。
「華奈子ちゃん、紫の魔女って今まで一人だったでしょ」
「うん」
「それよ。今までいなかったのが一緒にいるようになったのよ。おかしいと思わないの?」
「単に今までいたけれど連れてなかっただけじゃないの?」
「それはそれで大問題よ」
梨花はそれに対しても言った。
「つまりそれだけ警戒してるってことなんだから」
「それやっぱり私達のことかな」
「多分ね」
今度は美樹の言葉に応えた。
「私達も新しい魔法身に着けたし。警戒してるのかも」
「どうしたらいいの」
「決まってるじゃない」
心配そうな顔になった春奈に言う。
「やってやるのよ。それしかないわ」
「やるのね」
赤音はそれを聞いて真剣な顔になった。
「向こうがその気ならね」
「じゃあやるってことじゃない」
華奈子が言った。
「どうせ遅かれ早かれ来るんだし。やってやりましょうよ」
「やれやれ、華奈子ちゃんは相変わらずね」
梨花はそれを聞いて苦笑した。しかし彼女も大体同じ考えであった。
「けれどそれでいいわ」
「じゃあ決まりね」
「ええ」
五人は頷き合う。
「魔女が来たら」
「今度こそ」
「皆さん」
しかしここで先生が教室に入って来た。
「あ、先生」
「授業ですよ。席に着いて下さい」
「わかりました」
話はこれでとりあえずは中断した。しかしもう五人の考えは決まってしまっていた。
「今度こそ」
そう思っていた。そしてその今度が近付こうとしていた。
第四十六話 完
2005・9・21
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