一話:私立カルデア学園
[4/5]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、この間は生徒会の仕事を手伝ってくれてありがとうございました。今度何かお礼をさせてくださいね」
『気にしないで』
「いえ、それだと私が納得できないので―――あ」
お礼をしているところでチャイムの音が校舎に響く。
慌てて話を切りジャンヌは頭を下げる。
「それでは、お礼の話はまた今度に」
『またね』
最後にそう言い残してジャンヌは教室に戻っていく。
その時にふわりと舞い上がったスカートに思わず目を引き寄せられる。
それでもすぐに頭を振りぐだ男は自分の教室に駆けて行く。
チャイムが鳴り終わる寸前に扉に手をかけ、勢いよく飛び込み叫ぶ。
『セーフ!』
「アウトー!」
大きく手を広げたぐだ男に対し片手を上げ、アウトのポーズをとる教師。
長い黒髪に活発そうな瞳、まさに元気なお姉さんといった女性。
その名も玄奘三蔵、あだ名は三蔵ちゃん。ぐだ男のクラスの担任である。
『そこを何とか、三蔵ちゃん』
「こら、三蔵先生、もしくはお師匠様って呼びなさいって言ってるでしょ」
ぐだ男の呼び方にぷりぷりと怒りながら叱る三蔵ちゃん。
ここ私立カルデア学園に採用されて三年目の国語の教師。
今年晴れて初担任となったが中々先生と呼んでもらえずにいるのが目下の悩みだ。
ただし、生徒からの親しみの現れなので敬意がないわけではない。
『お師匠様、お願いします』
「今日でギリギリは何回目?」
『2回目です』
「うーん、御仏の顔も三度だし……しょーがない、次はないからね」
『ありがとうございます』
何とか遅刻の烙印から逃れ一息をつき席に座るぐだ男。
そこへ隣の席の友人が声をかけてくる。
「怒られなくてよかったねー、ぐだ男」
『そうだね。そう言えばアストルフォは遅刻しないよね』
「ボクは朝の空気が好きだからね。まあ、暖かいお布団も大好きだけどね、あははは」
隣の席のアストルフォ。あどけなさの中に可憐さを兼ね備えた見た目美少女の友人だ。
考えるよりも体を動かすほうが早い人間の典型だが、優しさと勇敢さも兼ね備えている子だ。
「すまない、先生が話すので今は黙ってくれないか。でないと今度こそ怒られてしまうだろう。出過ぎた真似だとは思うがすまない」
「あ、ごめんねー」
『ごめん、それとありがとう、ジークフリート』
二人の私語を注意してきたのはジークフリート。
隣の席の気さくなアイドルかつクラスの委員長だ。
自身の大柄な背のせいで後ろの人が黒板を見られないかもしれないと考え。
常に猫背のような姿勢で椅子に座っているほどの謙虚な好青年だ。
「礼を言われるようなことはしていない。それよりも気分を害していないだろうか」
『こっちが悪
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ