六十四話:Zero
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としみじみと呟く。今ではツヴァイが立派な監視役として成長したおかげで食事を抜くことはないし、徹夜をすることもない。ただし、何かしらの事件が起きれば話は別なのだが。
「まあ、それは置いといて、今度うちの道場のミウラがインターミドルに出ることになったんよ。緊張しやすい子やから二人も応援したってや」
ザフィーラやヴィータなどが指南している子どものミウラ。上がり症ではあるがその実力は本物である。同じ大会にヴィヴィオやその友達も出ることになっているのでその影響で少しでも楽しんでくれればと願う。
「……と、もうこんな時間や。今日はえらい長いこと話してもーたな。ほな、今度はみんなで来るからな」
随分と時間が経ったことに気づき、背を向ける。その背中に追い風が優しく吹きかかる。まるで二人に背中を押してもらったような気分になり、はやては楽し気に笑う。あれから色々なことがあった。そしてこれからも色々なことが起こっていくだろう。それでも、はやては胸を張ってこう言うだろう。
―――私は今、幸せです。
〜Fin〜
完結です! ここまでついて来ていただいた読者の皆様には感謝の言葉しかありません。
感想・評価ありましたらおねがいします。
あと、新作投稿しましたのでそちらも読んでいただけると嬉しいです。
それと、ここから先は蛇足のおまけです。読まなくても特に問題ないです。
ではどうぞ。
おまけ〜イノセントに切嗣が居たら〜
「切嗣? こんなところでボーっとしてどうしたんだい?」
「アインスか……少し話しをしないかい?」
自宅のベランダから月を眺めていた切嗣にアインスが声をかける。それに対して切嗣は穏やかな顔で声をかける。
「私は構わないよ」
「ありがとう」
横にずれ彼女が隣に立てるようにする。アインスはそのことに少しドキドキしながら隣に立つ。
「どうしてこんなことをしているんだい?」
「今日は月が綺麗だったから見ていたんだ」
何食わぬ顔で口説き文句を言ってくる姿に思わず顔が赤くなるが当の切嗣はなにも気づいていないのか特別な反応は見せない。ただ、どこか遠くを見るような目で月を眺めているだけである。
「ずっと昔、僕は正義の味方になりたかった」
「諦めたのか…?」
「僕が夢見ていた正義の味方はみんなを救うんだ。誰も犠牲にしないし、殺しもしない。そんな世界の平和を守る正義の味方になりたかった」
子供の理想論を語る男の瞳はどこまでも疲れ切った老人のようであった。その姿にアインスはこの男は壮絶な人生を送ってきたのだと理解する。自分の想像が追いつかないほどの地獄を彼は歩んできた。
―――私が居る。お前の傍にい
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