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Three Roses
第八話 短い輝きその四

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「対するべきです」
「そういうものなのね」
「あらゆることに対して」 
 政治のことならというのだ。
「そうではないかと」
「では」
 ここまで聞いてだ、マリアは。
 マリーだけでなくセーラの顔も見てだ、そのうえで言ったのだった。
「王に何かある場合も」
「はい、考えておくべきです」
「そうなのね」
「その場合はです」
 マリーはあえて言った。
「やはり」
「ええ、父上が」 
 マリアもあえて言った。
「そうなるわね」
「左様ですね」
「そしてその後は」
「マリー様ですか」
 マリアだけでなくセーラも言う。
「そうなりますか」
「はい、ただ」
「貴女はなのね」
「王に就かれるおつもりは」
「ないです」 
 はっきりとした返事だった。
「それは」
「そうなのね」
「私は北の王国から王子をお迎えしますので」
 マリー自身も言う。
「ですから」
「王位には就かない」
「左様ですか」
「それはないです」
 全く、といった言葉だった。
「やはり王は男性が第一です」
「ですがマリー様は」
 じっとだ、マリーのその顔を見てだった。セーラは彼女に言った。
「王位継承権は」
「第二位ですね」
「大公の次です」
「そうですね」
 もっと言えばマリアが三位、マイラが四位だ。そしてセーラも五位にある。王位継承権の順番はしかと決められているのだ。
「それは、しかし」
「それでもですか」
「私はそう考えています」
「若し北の王国から王子を迎えれば」
 その時はとだ、マリアが言った。
「王子は第一位になるのね」
「そうですね、王位継承権は」
 セーラがマリアの今の言葉に応えた。
「そうなりますね」
「そうね」
「では」
「それでいいと思います」
 マリーの声はあくまで穏やかだった。
「その様に」
「そうですか、ただ王子はまだ赤子です」
 生まれてすぐだとだ、セーラはこのことも言った。
「ですから我が国に入ることは」
「まだですね」
「暫く先ね」
「その前にまず貴女達が嫁ぎますね」
 そうなるというのだ。
「やはり」
「はい、私は暫くしたらです」
 まずはセーラが答えた。
「半島のあの国に入ります」
「私はすぐに入られそうもないけれど」
 マリアも言う。
「けれど」
「それでもですね」
「やはりね」 
 セーラと同じく、というのだ。
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