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Three Roses
第八話 短い輝きその三

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「最早」
「そうですね、あの方はですね」
「お身体が日に日に弱くなっていっています」
「そうですね」
「このままです」
 まさにとだ、セーラはまた言った。
「弱っていけば」
「そうですね」
「大公様がお薬を集めていてです」
「王に献上されていますが」
「しかしですね」
「はい、それでもですね」
 マリーも言うのだった。
「あの方は」
「若しも」 
 マリアは俯き暗い顔で言った。
「あの方に何かあれば」
「はい、その時はです」
 まさにとだ、マリーはマリアにも答えた。
「来ないで欲しいですが」
「それでも」
「このままでは」
「思ってはいけないことといっても」 
 それでもとだ、また言ったマリアだった。
「思ってしまうわね」
「人の口に鍵はかけられないですし」
 それにとだ、ここでまた言ったマリーだった。
「考えはです」
「口以上にね」
「止められるものではありません」
 首を横に振ってだ、マリーは答えた。
「どうしても」
「だからですね」
「私達にしても」
「そうです」
 そう考えることはというのだ。
「それは無理です、しかし」
「しかし?」
「しかしというと」
「最悪の事態を考える」 
 マリーも沈痛な顔で言った。
「それはいいことと思います」
「最悪のことまで、ですか」
「考えることもなの」
「またいい」
「そうなのね」
「はい、最悪のことを考え」
 そしてというのだ。
「それにどう対するか」
「そこまで考えてこそ」
「政治が出来る」
「そうも考えています」
 真剣な面持ちでだ、マリーは二人に話した。
「ですからこのこともです」
「考えることは、ですか」
「いいと思います」 
 こうセーラに話した。
「それもまた」
「そうなのですか」
「はい、そうも思いました」
「考えたくないことでも」
 それでもとだ、マリアも言った。
「考えるべきなのね」
「そうも思っています」
「そうなのね、ただ」
 ここでだ、マリアは暗い顔のままマリーに言った。
「考えたくなくてもなのね」
「逆に言えばです」
「考えるべきなのね」
「政治においては」
「そうしてです」
 そしてというのだ。
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