第八話 短い輝きその二
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「予定説を聞いたことがあるな」
「人の運命は全て神が決めている」
「既にですね」
「その考えですね」
「新教の中でも過激な者達が持っている」
「その考えですね」
「恐ろしい考えだ」
その予定説に戦慄さえ感じてだ、大公は言った。
「実にな」
「はい、確かにその考えは恐ろしいです」
「新教徒である筈の我々ですらです」
「その考えには頷けません」
「恐ろしいものなので」
「人、全ての者の運命は既に決まっている」
予定説の具体的な中身をだ、大公は言った。
「そう言われているな」
「それはどうしてもです」
「受け入れられないです」
「我々の運命が全て既に決まっている」
「天国に行く、地獄に行くことも」
「そしてその一生も」
「何もかもがとは」
側近達も口々に言う、そしてだった。
側近達の言葉を聞いてだ、大公はまた言った。
「私も同じだ、その言葉に従えばな」
「王の運命もですね」
「全て決まっていますね」
「神が既に決められている」
「そうなっていますね」
「若しもだ」
大公はここでまたあえて言った、その言葉が恐ろしいものであることは彼自身よくわかっていることがsれでも言った。
「王の運命が夭折されるものであったとしたら」
「我々の努力は、ですね」
「既に無駄ですね」
「そうなりますね」
「何をしようとも」
「私もこの考えは認められない」
大公もだ、こうした考えだった。
そしてだ、こうも言ったのだった。
「この考えは認めない、絶対にな」
「それ故にですね」
「我々は努力を続ける」
「そうしますか」
「王のことも」
「神が全てを決められていてはだ」
それこそというのだ。
「何が出来るのだ」
「何も出来ませんね」
「あらゆる努力が無駄になる気がします」
「人は何も力のない無力と思い」
「どうしてもですね」
「全くだ、それは信じない」
また言った大公だった。
「だからやっていこう」
「はい、どうしても」
「何があってもですね」
「王の為にです」
「働いていきましょう」
側近達も言う、そして。
彼等は王についても必死に働いていった、王が子をなしあわよくば長寿してもらう為に。東西から妙薬を集め続けていた。
しかし王の身体はだ、やはり誰が見てもだった。
マリーもだ、セーラとマリアと三人だけになった時に言ったのだった。王宮の隅の一室で。
「王ですが」
「はい、あの方は」
セーラがマリーに応えた。
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