第五章
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「お家に帰ったから」
「もう晩御飯の時間よ」
自分達の時間をだ、麻美子は娘に言った。
「だから今日のおやつは晩御飯の後でね」
「食べるの?」
「そうしましょう」
「さあ、今からお風呂を入れるから」
妻が今から晩御飯を作るのでその間にとだ、太はそこまで考えて玲に言った。
「パパと一緒にお風呂に入るか」
「うん、私お風呂大好き」
やはり何も知らず無邪気に応える玲だった、笑顔もそうしたものだ。
「今日はパパとだね」
「入って身体も髪の毛も奇麗にしようね」
「うん!」
戻って来た玲は今朝と全く変わっていなかった、誰がどう見ても二人の娘である彼女だった。この日二人は玲と一緒に水入らずの時間を過ごし次の日からは楽しい日常だった。
しかし後日だ、太は麻美子に家で玲を寝かしてからこんなことを言った。
「玲がいなくなったことだけれど」
「どうしたの?」
「取引先にフィンランドの人がいてね、たまたま接待で一緒に食べている時に民俗学の話になってね」
「民俗学って?」
「柳田国男さんとかね、まあ民間伝承の学問だよ」
「そのお話になってなの」
「あっちじゃ妖精が親が見ていない間に子供をさらってね」
そしてというのだ。
「別の子供、妖精の子供と取り替えたりするらしいんだ、そして親があまりにも必死に探して子供への愛情が見られると同情して返したりもするそうだよ」
「じゃああの時の玲は」
「多分ね」
こう妻に話した。
「それだったんじゃないかな」
「取り替えられた妖精の子供だったの」
「そいうだったかもね」
「私が目を離した時に」
「僕もそうした時あるから」
「子供はいつも気を付けないといけないのね」
幼い子供を持っていたらとだ、麻美子も言う。
「そういうことなのね」
「そうみたいだね」
「妖精って欧州の話と思っていたら」
その話を聞いてだ、麻美子は溜息混じりに言った。
「日本にもいるね」
「海外からの人も増えたし妖怪とか妖精も来てるのかもね」
「この日本にも」
「大阪にも色々な国から来てるしね」
一家が住んでいるこの街にもというのだ。
「だからね」
「そうなのね、けれど」
「これからは気をつけないとね」
「またこんなことになったら大変だから」
「玲をいつも見ていようね」
「ええ、私も玲ちゃんの手はもう離さないわ」
お喋りをする時もというのだ、あの時の様に。
「そうするわ」
「僕もね、あとあの時あちこち駆け回って肥満と運動不足を自覚したから」
「ジョギングでもする?」
「そうしようか、健康の為にもね」
「それが玲ちゃんの為にもなるわね」
「健康だからこそ働けるからね」
それだけにというのだ。
「これからはそうするよ」
「ええ、じゃあこれからも玲ちゃん
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