第四章
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「訳がわからない」
「誘拐かしら、それとも失踪か神隠しかしら」
「捜索願いを出そう」
ここでも妻よりは冷静にだ、夫は言った。
「今から」
「警察に」
「ツイッターとかネットでも出そう」
「そしてよね」
「玲を見付けるんだ」
「それがいいわね」
麻美子も冷静さを失ってはいるが夫の言葉に少しだけ冷静さを取り戻してそのうえで答えた。
「まずは」
「それでこの娘は」
とりあえず家で保護して警察に引き渡そうとだ、太は少女を見たがだ。
そこには玲がいた、二人が誰よりもよく知っている娘が、そしてだった。
玲は両親をだ、あどけない目で見つつ聞いてきた。
「パパ、ママ、どうしたの?」
「えっ、玲?」
「玲ちゃん?」
「うん、そうだけれど」
こう両親に答えるのだった。
「どうしたの?」
「えっ、けれど」
「さっきまでいなかったのに」
「どうしてなの?」
「玲がここにいるんだって」
「あれっ、そういえば私お家から帰ってママと一緒に玄関にいて」
玲は呆然となっている二人を見つつ右手に手を当てて考える顔になり言った。
「それでママがお話をしてたけれど」
「それはそうだけれど」
麻美子が娘に答える。
「玲ちゃんずっといなかったのよ」
「私ここにいるわよ」
目を瞬かせてだ、母に答えた。
「ほら、ちゃんとね」
「一体どういうことなの」
「何なんだ」
「さっきまでは一体」
「誰だったんだ」
「あの、ママ」
何も知らない玲は麻美子にこう言った。
「お腹空いたけれど」
「お腹?」
「おやつまだ?」
こう言うのだった。
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