第二十七話
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》を造っている筈だから、見るのは始めてではないはずだが……不覚にも、あたしも何故か夢中で見入ってしまっていた。
そして数秒後、オブジェクトのジェネレートが完了し、新たな日本刀が完成する。
柄と鍔の部分は漆黒に染まっているが、刀身は晴れた夜の新月のような銀色。
余計な装飾がなくとも重厚な美しさを醸し出した、機能美を追求した日本刀だった。
金床から新たな日本刀を持って――少し重くなっていて、持つ時に少し驚いた――鑑定スキルでどんなものかを見てみる。
「ええと……ステータスは問題なし、製作者名はショウキ/リズベット……二人の名前になってるのね。そして、この日本刀の名前は……《銀ノ月》」
このアインクラッドで造られる武器の名前は、全てシステムがランダムで決定する。
よって、同じ名前になる確率は0ではない……けれど、限りなく低い確率だろう。
今までのあたしならば『偶然』という言葉で済ませたかも知れないけれど、今なら言える。
これはショウキが引き起こした、必然だ。
「はい、ショウキ。あんたの新しいカタナ、日本刀《銀ノ月》よ」
「……ちょっと重くなったな」
あたしから新たな日本刀《銀ノ月》を受け取ったショウキの、第一の感想はそれだった。
もしかして、ショウキは重くなって不満なのかと思って少し不安にかられたが、あたしから離れて試しに振っているショウキの姿を見ると、その心配は杞憂なようだ。
「ありがとう、リズ。凄い日本刀だ。……やっぱり、本職は違うな」
「ほ、ホント!? やった!」
満足そうに笑うショウキを見て、あたしはついガッツポーズを繰り出した。
その後右手を突き合わせ、ショウキの右手とコツンと突き合わせる。
そして、鞘は元々あった昔の日本刀《銀ノ月》の鞘を使うようだ。
なんでも、鞘にも剣を速く繰り出す為の工夫が成されているらしく、一般の流通品ではダメだそうだ。
……あとで、鞘も造ってあげようかしら。
それと、造るといえば。
「……無の境地でやれ、っていうのは、間違いかも……」
「おいおい、俺はキチンと無の境地で打ってたぞ?」
「そもそも、よく考えると無の境地って何なのかしらね?」
新たな日本刀《銀ノ月》を造り終わり、緊張の糸が途切れたのか軽口の応酬が始まりだすと、ショウキがふと慌てたように口を開いた。
「この日本刀《銀ノ月》の代金、どれぐらいだ? ……出来れば、ちょっとサービスしてくれればありがたいが」
――来た。
今までで一番の勇気を出せリズベット……いや、篠崎里香。
「――お金は要らない」
「いやいや、それは流石に悪いって……」
予想通りに断られる。
サービスしてくれと言いつつ、サービスを受け取る気は
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