第二十七話
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「たっだいま〜!」
「お邪魔します、と」
ショウキと共に、朝ご飯を食べた後にあの怪しい宿屋から出たあたしは、早速自らの店である《リズベット武具店》に戻ってきていた。
たかが1日程度しか離れていないのに、なんだか懐かしい感じがしてしまうのは、ショウキと過ごした昨日の1日の密度が濃かったことの証明だろうか。
「お帰りなさいませ。いらっしゃいませ」
この店の店員である、店員NPCのハルナがあたしたちに声をかけてくれる。
今までは所詮NPC、と扱ってきたかもしれないけれど、これからは一緒に働いてくれているし、もう少しキチンと接してみよう。
「お疲れ様、あたしは工房に入るからね……ちょっとショウキ。こっちこっち!」
ハルナに労いの言葉をかけた後、キョロキョロと物珍しそうに辺りを見回しているショウキの和服の裾を掴み、鍛冶の仕事をする為の部屋に連れ込もうとする。
「ちょ、ちょっと待て!」
慌てるショウキには悪いけど、一刻も早く新しいカタナを造りたいあたしは、小走りで工房に向かう。
カウンター奥のドアを開け、水車のゴトンゴトンという音が更に響くようになる。
「さてと、新しいカタナを造る前に……ショウキ。ちょっと、提案があるの」
ショウキから受けた依頼について、昨日から考えていたことを打ち明ける。
これはあたしが決められるものではなく、依頼主のショウキにしか決められないことだ。
「……何だ?」
「今なら、あのボスゴーレムから出した《ダイアモンド・インゴット》であんたのカタナは充分強化できる。だけど、強化するにもいつか限界があるし、《銀ノ月》をもっと強化したいなら、その《銀ノ月》を一回インゴットにして、あの《ダイアモンド・インゴット》と併せて新しいカタナを造れば、もっと強力なカタナが出来るわ」
この方法は、使う剣に愛着があるプレイヤーが良く使う方法で、ずっと使ってきた剣を新しい剣の材料にすることで、新しい剣の質を上げると共に、愛着のあった剣もずっと使っていられるということだ。
あのアスナも、第一層から今まで、ずっとその方法で剣を使ってきているらしい。
一見優秀なこのシステムだけど、もちろん問題点はある。
それは、この方法をとるためにインゴットにした古い剣は、二度と元々の剣の形状には戻せないということだ。
愛剣をインゴットにしたにもかかわらず、鍛冶屋の失敗でインゴットが消失してしまった場合……その剣は、この浮遊城から永遠にその姿を消してしまうのだ。
つまり、インゴットにしたら最後、後は赤の他人である鍛冶屋に自らの愛剣を全て任せなければならなくなる……
「もちろん、相応のデメリットも……」
「よろしく頼む」
剣をインゴットにする方法のデメリッ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ