第二章
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「あの時は我ながら笑ったわ」
「だってよく寝るからお母さん」
だからだというのだ。
「それでよ」
「やれやれね、まあとにかくね」
「勉強してね」
「桐子ちゃんと一緒の高校行くのね」
「そうするわ」
「頑張りなさい、あとね」
ここでだ、由貴は冷たいミルクをコップに入れて飲む娘に言ったことがあった。
「験担ぎね」
「ああ、それね」
「そう、入試の前の日にはステーキと豚カツを食べるとか」
「テキにカツね」
「敵に勝つよ」
語呂合わせの験担ぎである。
「学業成就の神社にお参りするとか」
「天満様のところ?」
「そこに行くとかね」
大阪天満宮である、小雪達の住んでいるところが大阪市西淀川区の八条グループの社宅だからだ。
「そうすることね」
「やっぱり験担ぎも必要なの」
「そう、最近だとね」
母は娘にさらに言った。
「その天満宮から四天王寺まで二人で歩いていくとね」
「天満さんから?」
「そうよ、カップルなり友達同士でも一緒に四天王寺まで歩いて行くとね」
「二人共合格するっていうの」
「冬に。冬だからずっと雪女が嫌がらせしてくるらしいけれど?」
「雪女?」
「その嫌がらせに勝って二人で一緒に天満さんから四天王寺まで着いたらね」
若しそれが出来たらというのだ。
「その二人は合格するっていうわね」
「そんなはじめて聞いたけれど」
「最近ネットで話題になってるそうよ」
「本当の話かしら」
「さあ。けれどやってみたら?」
母はホットミルクを飲み終えコップを自分で洗いつつ言った。
「どっちにしろ天満さんは菅原道真さんでね」
「学業の神様で」
「四天王寺は聖徳太子だけれど」
「あの人も頭よかったわね」
近年実在説が危ぶまれているがだ。
「それじゃあ」
「いいでしょ」
「受験にもね、こんなお話はじめて聞いたけれど」
「あくまで噂だけれどね」
ネットでの、というのだ。
「お母さんが若い娘にパート先で聞いたね」
「嘘かも知れないのね、そもそも大阪に雪女って」
「出ないっていうの」
「あれ寒いところの妖怪なんじゃ」
イメージからだ、小雪は母にこう尋ねた。
「お父さんの地元ならわかるけれど」
「秋田ならね」
「大阪って」
「六甲から来るんじゃないの?」
「あそこから?」
「あそこ冬は寒いから」
だからだとだ、由貴は娘に軽い感じで話した。
「だからじゃないかしら」
「あそこ牛女とか出るのよね」
「その話は有名ね」
「雪女もいるの」
「それで大阪まで出て来るのかも知れないわよ」
それで験担ぎに天満宮から四天王寺まで歩く二人を寒くさせるというのだ。
「けれど雪女に勝ったら」
「私も桐子ちゃんも」
「合格出来るかも知れないわよ」
「じゃあ
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