SIDE:A
第五話
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気が早いよ母さん。まだお互い正式に顔合わせしてないんだから」
予想通りというか、結構婚約に対して前向きな母さん。
ぶすっと不貞腐れたクーちゃんは俺から顔を背けてお茶を啜っていた。俺は悪くないのに……。
今は話しかけないほうがいいかも。
トースト二枚でお腹一杯になったのか、こっくりこっくりと船を漕いでいる汐音を見て、ふと思い出した。
いい機会だし、いま言ったほうが良いだろう。婚約の件で父さんも断り辛いのではという淡い期待も兼ねてね。
「……ああ、そうだ。俺からも父さんにお願いがあったんだ」
「ん、なんだい?」
「ほら、俺も今年からアカデミーに通う予定でしょ。それさ、ちょっと先延ばしにしてくれないかな」
「あら、それまたどうして?」
珍しい俺からのお願いに不思議そうな顔をする両親。前世の記憶がある分、この歳になっても未だ両親に何かを強請ったのは片手で数える程度しかないのだ。
忍者を目指す子供が通う学校。通称アカデミー。入学できる年齢は五、六歳からで、俺も規定の年齢に達したため今年から通うことになっている。しかし、ある考えから、入学を二年遅らせて八歳になるまで待ってもらおうと考えていた。
理由を言おうとすると、それを制するように父さんが口を開いた。ニヤニヤした顔で。
「ああ、ヒナタちゃんと一緒に入学したいんでしょ。婚約の話をしたから意識しっちゃったかな?」
「まあ♪」
「なんじゃと!?」
「ちげーよ!」
ニヤニヤと憎たらしい笑みでからかう父。なぜか嬉しそうにする母と、ぐるんと振り向きキッと睥睨してくるクーちゃん。
もうやだこの家族……。賑やかなのはいいし退屈しないんだけど、時たますごいウザイ。
こほんと咳払いを一つして空気を入れ替えると、真剣な顔で真意を口にした。
「昨日の一件で思ったんだ。うちの里にはうちは一族や日向一族、さらには秘伝の忍術を扱う一族も大勢いる。ぶっちゃけ木の葉の里は他国からすれば宝石箱なんだよ。今回はヒナタちゃんが狙われて、偶然俺が居合わせたから事なきを得たけど、今後はそうもいかないかもしれない」
「うん、続けて」
内容が内容なだけに流石におちゃらけないで真剣に聞く両親。
「しかも戦闘力が低い子供を狙うのは常套手段だ。汐音と同年代の子たちの中にはそういった名家や旧家の子たちが大勢入学するから、当然狙われやすくなる」
「なるほど。そこでハルトも汐音たちと同じ時期にアカデミーに入ることで、密かに護衛をしようというわけだね。確かにハルトの実力は現時点で上忍並みだし、それを知っているのは僕たち
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