第7話、謁見
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クを出し抜いて軍備増強計画の先鞭をつけてくれただろう。
もちろん、リヒテンラーデ候も同様の計算をしたに違いない。だからこそリッテンハイム候を引き込むリスクを避け、歩の悪い賭けに出たのかもしれない。
そしてブラウンシュヴァイクの政治的敗北の可能性を示唆して、自主的かつ秘密裏に軍備増強計画を諦めさせる材料にしたが、その結果は皇帝との謁見の通りである。
「国務尚書は弛んでいた貴族の軍備をそのまま放置せよと言われるのか。もし、本気でそのような反対をするなら、陛下の手を煩わせるしかないでしょう」
いずれにせよ皇帝が自ら前言を翻すことはない。皇帝の権威に頼るリヒテンラーデ侯も皇帝の権威に傷のつくような前言撤回などさせたくないだろう。
そして、リッテンハイムが慌てて同じことを始めれば、その時点でブラウンシュヴァイクの突出ではなく、門閥貴族主流派の総意みたいになってしまう。
「・・・考えておきましょう。ですが各貴族の要望で陛下を悩まされるとはいかがと思います」
「陛下は面白がっておいでだろう。銀河帝国を滅ぼしかねない黄金髪の獅子が元帥となり、それに対抗しようとする貴族が軍事力を増強。第三者ならわしも楽しめる話よ」
「御身は陛下の考えを代弁する不敬を犯し、あまつさえローエングラム伯を反逆者とおっしゃるのか。悪い冗談です。自重されるべきでしょう」
一応警告してやったのだが、まあ下品な冗談と思ったならそれはそれで仕方ない。
「卿も少しは物事の本質の方を見たらどうだ。陛下はとっくに銀河帝国の脅威に気づいていたと、わしは見ている。その真意は畏れ多くて聞けないがな」
ラインハルトに対する感覚の違いをもどかしく感じ、俺は思わず本音を少し漏らしてからこの場をあとにした。いずれにせよ、リヒテンラーデ候との関係改善は少し先になりそうだ。
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