第7話、謁見
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た。おそらく欠伸による涙だろうが、まさか、寿命が伸びるなんてことは無いよな・・・
寿命と言えば、今日みたいに退廃的な生活を謁見で中断させた影響もどうなるか分からない。 反動で余計に酒量が増えて早死にする可能性もあるが、それはそれで困る。
一応、原作と同じ時期にコロッと天寿を全うする予定でこっちも腹案を立てつつある。皇帝の健康は心配要素だ。
「そうか。我が身を振り返ることは悪いことではない。若者に気合を入れることも大事だ。よかろう。ブラウンシュヴァイク公の提案を全て許可しよう」
「有り難き幸せ」
目的を果たし、謁見の間から退室して廊下を歩いていると、無表情のリヒテンラーデ侯が先回りして道を塞いでいた。
「ブラウンシュヴァイク公。こういうことはもう少し慎重に進めていただきたいものです」
やんわりとした不満表明のようだ。
「国務尚書にはボアテング伯爵が丁寧に挨拶したはずだ」
「その際、伯爵には考え直すようはっきりと伝えたはずです。ブラウンシュヴァイク公が私兵の増強に乗り出せば、リッテンハイム候を始め多くの貴族が同じことをしようと騒ぎになりますから、ご配慮頂きたいと」
・・・前言撤回。やんわりどころか、かなりの不満表明だ。
確かにブラウンシュヴァイク家の計画は、貴族全体に軍拡競争を招きかねない。貴族間の不信を招く可能性や軍事費の増大など様々な社会不安を招く可能性もある。
そして、それら国難に対応するのは誰かと言えば、国務尚書クラウス・フォン・リヒテンラーデに他ならない。俺が国務尚書でも大貴族の軍備増強計画を闇に葬り去ろうと努力するだろう。
とはいえ、この権力欲の塊の爺さんに同情は無用だ。
そもそも国務尚書にとって、大貴族の勢力拡大阻止は自分の地位を脅かすライバルの弾圧に並ぶ二大ライフワーク。つまりブラウンシュヴァイクの軍備増強計画は、報復合戦や全面対決にならない程度の範囲で、クラウス爺さんから妨害を受けたわけだ。
リヒテンラーデ候は表面で軍備増強計画の撤回を丁重にお願いしつつ、裏ではリッテンハイム候との共闘を示唆して脅迫紛いのお願いをしてきた。
それもリッテンハイム候に余計な考えを起こさせないよう、あえてブラウンシュヴァイクの軍備増強計画の情報を知らせず、名前だけを勝手に利用して恫喝してきたのである。
とはいえリッテンハイム候が軍備増強計画を知った場合、リヒテンラーデ候の政治工作込みでも十中、九か十くらいは軍備増強で対抗してくる。と俺の側近達は予想していた。
もう少しこの数字が低ければ計画を変更したかもしれないが、それとてリッテンハイム候を完全に出し抜くことを諦める程度の変更で済む数字だ。
例えば軍備増強計画をリークして皇帝に先に謁見出来る機会を与えれば、リッテンハイム候は確実にブラウンシュヴァイ
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