第6章 流されて異界
第147話 温泉にて
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に分かる、のだが……。
取り敢えず、手と手を合わせて朝比奈さんが迷わず成仏出来る事を祈る俺。
何と言うか、今の女湯の方の騒動からだけでも、涼宮ハルヒと言う名前の少女が、お約束は外さない奴だと言う事が分かっただけでも重畳。それに、弓月さんや万結のソレも小さい訳ではないのに朝比奈さんに向かったと言う事は、朝比奈さんはそれだけ隙が多いと言う事なのでしょうし。
何にしても俺には関係ない。確かに、見ようと思えば見る方法は幾らでも有るが、本当にそんな事を行うと流石に徳が下がる。
やめなさい、涼宮さん……と言う朝倉さんの声とか、水音とか、妙に色っぽい嬌声とか、どうにも健全な男子高校生としては蛇の生殺しのような時間がしばらく続く。正直に言って、いい加減に術で無音状態にしてやろうか、と考え始めた時に、ようやくその騒動にも収拾が着いたのか、妙に大きな物音は聞こえなくなった。
……やれやれ。やっと終わったのか。
そう考えながら、手桶に汲んだお湯を豪快に頭から浴びる俺。まぁ、冷水ではないので頭を冷やす効果はないが、それでも、気分をリセットするぐらいの効果は期待出来るでしょう。
その時……。
「ねぇ、みくるちゃん。ひとつ聞いても良い?」
さて、準備は整ったし、そろそろ湯に浸かりながら今宵のイベント……真冬の花火大会が始まるのを待つか。身体に着いた石鹸を完全に洗い流し、風呂用の椅子から立ち上がろうとした俺。その俺の耳に、再び女湯の方から話し声が聞こえて来た。
「その胸の所にあるのは痣?」
ハルヒにしては珍しく歯切れの悪い問い掛け。問うても良いか、それとも止めるべきか。そんな、少し迷ったような雰囲気だとは思うのですが……。
「痣ですよ、涼宮さん」
何となく、蝶々が羽根を広げたみたいで可愛いでしょ?
しかし、聞かれた方の朝比奈さんは別に気にした風もなく、普段通りの口調と声のトーンで答えを返した。
確かに胸の部分ならばそう目立つ訳でもないので、わざわざ手術などを行って取って仕舞う必要もない……とは思う。そもそも、他人に対して積極的に見せるような部分でもない。
ただ……。
痣。それに羽根を広げた蝶々のような形。其処に引っ掛かりを感じる。いや、これは非常に厄介な事態が起きつつあるのではないか、と言う不安に近い感情と言うべきか。
アレは確か羽ばたく物。例えば鳥とか、蝶が羽ばたく姿が顕われる事が多い……と話に聞いて居たのだが……。
「朝比奈みくるが時間跳躍能力者である可能性がある事は、水晶宮の方でも既に確認済み」
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