第6章 流されて異界
第147話 温泉にて
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んの声が聞こえて来る。
涼宮ハルヒが率いる美少女集団の中のツートップ。ちゃんと胸を張って立てば彼女……弓月さんのソレは、確実にハルヒよりも大きく、朝比奈さんにも引けを取らない事を俺は知っている。
ハルヒやさつきのように見る者に対して積極的に訴え掛けるような派手さはない。有希や万結のように実在している事を疑わせるような儚さを持っている訳でもない。しかし、この高坂の地に入ってからの彼女――自らに纏わせた穏行の術を解いた彼女の本当の姿と言うのは、清楚な中にも凛とした何かを感じさせる少女。
但し、一度本当の姿を目にしたのなら、その後、何故かその姿を瞳で追って仕舞う事となるような、静かな蠱惑に満ちた容姿を持つ少女であった事も間違いない。
「今回の依頼は弓月の家が行った事ですから、全員分の旅費の面倒を見るのが筋です」
本来の彼女。北高校で表面上、そう見せて居る少しオドオドとした引っ込み思案な少女の姿などではない、凛とした立ち姿が似合う和の美少女の雰囲気で答える弓月さん。確かに巫女姿で弓を構える黒髪の少女の基本形と言えば、そう言う雰囲気になるのでしょうが……。
ただ、このままだと西宮に帰ってからのギャップに俺たち、と言うか、俺が困るのですが。今の彼女なら、おそらく朝倉さんよりも。もしかすると時々挙動不審となるさつきよりも頼りになるかも知れないのに、それが帰った途端に、以前の彼女に戻られると……。
……などと、ここでも非常に勝手な事を考え続ける俺。ただ、その間も休む事もなく、順序良く身体の各部分を洗って行く。
まぁ、それに、以前の弓月さんが必要以上に俺に関わって来なかった理由についても、今では多少の理由らしき物について思い当たる物がない訳でもない。
その理由が今回のSOS団……と言うか、俺に対する事件の解決依頼へと繋がるのなら、西宮に帰ってからの彼女は、俺の前だけでは今の彼女の姿を見せ続けてくれる事だけは間違いないはず。
何となく、俺だけが知っている本当の彼女……などと言う部分に、多少問題があるような気がするのだが……。
鏡に映る自らの顔を確かめるように覗き込む俺。しかし、其処に映るのは脂下がった締まりのない顔などではなく、かなり強い瞳をした少し強面と表現される顔。
大丈夫。現状の俺は未だ、自分の立ち位置を客観的に捉える事が出来ている。
タバサに召喚されてからコッチ、どうにも慣れない……所謂、ハーレム状態で自分を見失いかねない状況なのだが、未だ俺はこの状態が異常な状態だと認識出来ている。
おそらく、この一カ月の間、弓月さんは俺の品定めを行っていた。その流れの中で、今回の事件解決の依頼を行って来たのだと思われる。
さて、弓月桜の中で武神忍と言う偽名を名乗る少年の評価が、現状で
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