第6章 流されて異界
第147話 温泉にて
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横に翻訳しようとしない、ものぐさで横着な連中が芸術だと戯言をぬかしている程度の代物。……などと誉めて居るのだか、貶しているのだか分からない思考の元、気分もノリもゼッコウチョーな俺の耳に、その時、少し舌足らずの少女の声を冬の風が運んできた。
尚、戦いが終わって、俺たち全員が沈没していたあの二十二日の日曜日。一人元気だったハルヒが何をしていたのかと言うと……。
その日の朝。俺が戻るよりも前の段階で朝比奈さんや朝倉さんに、すべての厄介事が終了したから日曜日の内にこの高坂へとやって来るように、との連絡を入れて居たらしい。
如何にもいらちなアイツらしい性急な行動なのだが……。
ただ、口では何のかのと文句ばかり言っているハルヒなのだが、心の中では、ちゃんと俺が言った言葉を信用していた事がここからも窺えるので……。
……で、朝倉さんの元には、今となっては有名無実、彼女の従姉設定。実は水晶宮からの御目付け役の天野瑞希さんが居るので、そちらの方からも同じように高坂の事件は解決した、と言う情報が朝倉さんにはもたらされているはずなので、このハルヒからの情報が誤った情報ではない、と言う事は直ぐに理解出来たはず。
因って、翌十二月二十三日には、この高坂の地に北高校文芸部のメンバーが勢ぞろいする事となった。
まぁ、これで怪しげな事件を解決する為に、この東北の地へと旅行をする事がハルヒの目的などではなく、本当に皆で温泉旅行をする事の方が目的だったと言う可能性が高くなった……と思うので、取り敢えず、今のトコロ静観を決め込んでいる組織が彼女を危険な存在だと断定して、性急に事を起こす可能性はこれで更に低くなったでしょう。
彼女が望むように、何時までも俺が彼女の味方でいられる保障はない。俺には俺が決めた目的があり、それに逸脱しない限りは彼女の味方であり続ける事も出来る。
ただ……。
……などと少々深刻な内容の思考を纏めながらも、何故かハルケギニアを思い出すシャンソンのメロディを口ずさむのを止め、声の流れて来た方向……外界と、この露天風呂を仕切る壁が竹製の風情を感じさせる壁ならば、露天風呂同士を仕切る壁は枯れ山水の向こう側に立つ総ヒノキ製。そのヒノキの壁へと視線を移す俺。
そう言えば、その壁の向こう側。女湯の方は、現在閉館中のこの温泉宿に宿泊中のすべての女性陣が、ただいま絶賛入浴中……のはず。
確かに、別に示し合わせた訳ではないが、今宵、この高坂の地で催されるイベントは、この露天風呂から眺める事も出来る……と言う話だったので、この時間帯に入浴する、と言う流れが自然だと思いますから。
「気にしないで下さい、朝比奈さん」
しかし、何故か問い掛けられた相手のハルヒではなく、この旅行の始まりから妙に饒舌となった弓月さ
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