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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第56話 一妻多夫
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のだが―――。目を開けた先にはモカではなく カイトがいた。

「(なぜ…わたしを庇ってくれる…の?)」

「? どけ… 何のつもりか知らんが、そいつはつくねやカイト……、お前を騙そうとした挙句、つくねの方は殺されかけた、その上先ほどのカイトの呼びかけには全く聞く耳を持たなかったんだぞ?」

 モカは、カイトの行動の意味が判らない、と言わんばかりにそう言うが、カイト自身はただただ笑っている。

「ん? モカ オレは別にくるむに何かされた覚えは無いぞ?(たぶん)」

 そう笑いながら答えた。

「……なぜ庇う? あの時の会話の流れを聞いていれば、そいつはお前にも何かしたのは明白だろう。例え本当に何も無かったとしても、お前は、(つくね)を殺そうとしたその女を許せるのか?」

 モカの目つきがカイトとは対照的に細まった。そう、先ほどの様に、睨むかのように。
 バンパイアの眼光は、確かに凄まじい。だが、そんな目を見ても、カイトは笑っている。

 モカ自身も友達であり、更に自分の為に――とも遠まわしに言っているのだと言う事が判るから。

「確かに、モカの言う通りだ。つくねだってケガをしたし、くるむにも、正直な所、やりすぎな面もある。 そこは否定しないし、するつもりも無い。だけど……」

 そういうと、カイトは、くるむの方を向いた。

「あ…う……」

 僅かにまだ震えているが、ちゃんとこちらを向いた。

「くるむも、頭は大分冷えたろ? ……モカもオレも冷やせって言ってたけどな。このコはオレは悪いコには全く見えない。悪い事をした、罰は さっきのモカの一撃だけで、チャラで良いと思う。……だがまあ、よく考えたら、オレは今回1件、殆どといって良いほど絡んでないから……」

 そういうと、今度は側まで歩いてきていたつくねの方を向いた。

「……つくねはどうだ? このコに…これ以上鉄拳制裁を加えろって言うのか? その方が良いか?」

 つくねに問いかけた。実害が出ているのは、つくねの方だから。

 カイトの言葉を訊いて、つくねは首を左右に振った。

「ううん、これで…いや もう十分だよ。くるむさんも悪気があってやったわけじゃないだろうし…」
「(!!! カ…カイトくんだけじゃなく…つくねくん…も…)」

 徐々にくるむの溜まっていた涙の種類が変化していった。

「だってさ! カイトが言うように、くるむさんって根っからの悪いコには全然見えないもん! きっと仲良くなれると思う!」

 つくねは笑顔で答える。

「だな。……正直、ちょ〜っと過激すぎなとこもあるけど」

 カイトもまた笑った。その時、


「うああああああん ご…ごめんなさああぁい」


 くるむは本格的に泣き
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