暁 〜小説投稿サイト〜
ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第56話 一妻多夫
[3/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に輝きを増した。

『私は、もう1人のお前だ。………深層意識からロザリオを媒介にし、話している』
「え…もう1人のわたし?」

 正直な所俄かには信じがたかった。自身の妖力が解放されれば、本性が姿を現す、と言う事は判っていたし、以前もあった。でも、こんな風にコミュニケーション? が図れるとは思わなかったのだ。
 色々と考えていた時も、声は続く。

『サキュバスは男を惑わす妖 その口付けをうけた男は永遠に虜になってしまうと言う……。 急げ……このままでは完全につくねはくるむの下僕にされてしまうぞ』

 モカは、その言葉を訊いて そして くるむの目的を訊いて、はっきりと理解した。


 あの行動は、つくねの意志ではない、と言う事と――― くるむは、意図的につくねを巻き込もうとしている事が。







 そして、某場所では。

「(やっふ〜〜〜♪ 見た? 見た見た?? あのオロオロした顔! 泣きそうな顔っ♪ たまんないよ〜〜)」

 くるむは、モカの人気っぷりがよほど悔しかったのか、今は歓喜の涙を流しながら、一部分だけ擬態を解いて、その長く特徴的なサキュバスの尻尾を左右に振っていた。……犬?


 そして、くるむの傍にいるつくねは、意気消沈。

「(なんで?? なんで?? オレ、モカさんにあんな事を言っちゃったんだろ…………)」

 くるむとは正反対の意味で、悲痛な涙を流していた。

 そう、モカと別れる前に―― つくねは、自分の事を『食料として見ているだろう?』とモカに言ったのだ。――正確には、くるむの術中に嵌り、言わされたのだ。

 哀愁漂わせるつくねを見て、くるむは にやりと笑った。

「(つくねくんもよく見るとかわいいかも? いいね♪ このままつくねくんを虜にすれば私の勝ち!)」

 そのまま、つくねを抱きしめるくるむ。

「落ち込んでるんだよね? つくねくん… お詫びにくるむが慰めてあげるから…」
「(って、なんだーーオレ! モカさんとケンカしたばっかなのに!! こんなのばっかり!!)」

 つくねは、くるむの胸で窒息しそうになっていた。

「(よしっ、魅惑眼(チャーム))つくね君…じっとして…」

 つくねは、また――くるむの眼を見てしまい、完全に虚ろになってしまい――、そのまま、互いに顔を紅潮させながらベットに横たわった。

「く、 くるむ…さん…(だ…だめ…だ… やっぱり おかしい… くるむさんを見てると…オレ… いけない… このままじゃ…)」

 ベッドに横たわり――最終段階に入る くるむ。 
 くるむは魅惑の術最終段階の口付けを行うため、顔を近づけていった。

「(わ わたしまでドキドキしちゃうけど… この口付けで… これで赤
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ