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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第56話 一妻多夫
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たカイトもたたき起こされてしまった。
 いや、実を言うと、少なからずいつもと違う雰囲気に、やっぱり 少し心配(って少しかよ!!)してたカイトは、少しばかり 外の気配を探っていたら…モカの妖気をモロに感じ取っていたのだ。教室が、学園が揺れていると錯覚する程の殺気を。

「……封印されてるのに、モカから こんな妖気が出るって…… つまり、モカ相当怒ってる?? うぅ〜〜ん………、正直、ほんとに こんな空気ヤダなんだけど。 ちょっと、気配が……いつもと今回は違うか…な。それに…、くるむの事も少なからず気になるし………」

 あの修羅場の空気からすぐに逃げ出したかったカイト。……でも、あまり険悪になり続けるのも、正直望む所ではない。
 それに――まだ、気配の残滓が残っている気がする。

「むむ……、ちょっと、ほんとにヤバイかも……。 もう、ムリムリ言ってる場合じゃない……か。フォローしてあげないと」

 意を決して、カイトは再び廊下(修羅場)へと向かって行く事を決心。
 少々ビビっているのだが、それでも恐る恐る扉を開けてみると―――。

「……あ、あれ? モカ達は??」

 廊下にはもういなかった。

 
 少なからず、安心したのは別の話。









 そして、校庭の扉前に座りながら、モカは沈んでいた。
 カイトが意を決して廊下に突入した時にはモカ達はおらず……、くるむは つくねを連れ去って、モカは意気消沈してしまって、離れていたのだ。因みに、バンパイアの殺気の残滓が残ってしまっていて、カイトはまだ外にいると勘違いしていたのだ。

 
 モカは、今は怒る気持ちは全くなく――ただただ、後悔をして 悩んでいた。

「わたし… つくねやカイトのなんなんだろう… 友達…なのに・・・ わたしの本性(ほんね)は 血を吸いたいだけ…? それに、カイトにも迫ったし… 私は…… 友達に、ひどいことを………」

 モカのその眼からは、涙が溢れていた。
 つくねが離れてしまった事、その原因が自分にある、と。

 その時だ。

『おい! 未熟者、つくねは操られているだけだ』

 また、あの時の声が突然聞えてきたのだ。

「わっ! な、なにっ!?」

 モカは周囲を見渡すが、やはり何もないし、誰もいない。……だが、声だけは まだ続いている。

『あれは、《魅惑眼(チャーム)》……所謂、異性を虜にする術だな』

 モカは、漸くこの声が、何処から出ているのか、理解した。
 自身の胸元をじっと、見つめて――。

「なっ 何これ?? ロザリオから声が!?」

 そう、この声は、モカの胸元のロザリオから聞えてきたのだ。
 そして、中心に埋め込まれている赤い宝玉が、鮮やかに血の様
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