4部分:第三話
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第三話
第三話 魔女っこ集合
華奈子が通っている塾の生徒は六年生では彼女を入れて全部で五人である。皆彼女と同じ小学校の生徒だ。
「こんにちは、華奈子ちゃん」
眼鏡をかけた黒いツインテールの女の子が華奈子に声をかけてきた。おっとりとした声である。
「うん、春奈ちゃん」
華奈子は彼女に挨拶を返した。彼女は河波春奈、隣のクラスの女の子である。学校では勉強ができることで知られている。しかしそれ以上におっとりした性格で知られている。
「今日は遅刻しなかったのね」
「私だっていつも遅刻しないよお」
春奈は苦笑いしてそう答えた。
「今日はいつもより早めに出たんだから」
「それがいいね」
別の少女の声がした。二人の後ろに赤い短髪の凛とした女の子がいた。
「春奈ちゃんっておっとりしてるから」
「梨花ちゃん」
岩本梨花、自分のクラスでは学級委員を務めている。男の子が委員長で彼女が副委員長、けれど委員長よりずっとしっかりしていると言われている。学年でもまとめ役とされている。
「ちょっと早く出たらいいのよ、いつも」
「うん」
春奈はそれに頷いた。
「じゃあこれからそうするね」
「そうそう」
梨花はそれを聞いて満足そうに頷いた。そこにまた一人来た。
「久し振り」
「久し振りって」
かなり背の高い女の子がいた。他の三人よりも背はずっと高い。少し茶がかった黒い髪を後ろで束ねている。
「おとついここで会ったばかりじゃない」
「私にとっては久し振りなの」
その背の高い女の子はそう言ってむくれた。
「だって皆別々のクラスだもん。寂しいよ」
「クラスには他のお友達がいるでしょ」
「うん」
「だったら寂しくないじゃない」
「ここの皆に会えるのはここしかないのよ」
彼女はそう言って反論した。
「じゃあ寂しいじゃない」
「そうかもね」
梨花がそれに頷いてみせた。
「美樹ちゃんなら」
「そういうこと」
その少女佐藤美樹は梨花のその言葉を聞いて満足そうな笑顔になった。彼女はこれで意外と寂しがり屋であるようだ。梨花もそれがわかっているらしい。
「あいたっ」
今度は後ろで誰かが倒れる音と声がした。
「いたたたたた・・・・・・」
「赤音ちゃん?」
「うん」
茶色に黒がかった髪の女の子が立ち上がりながら答えた。髪は肩まで伸ばしている。
「また転んじゃった」
「仕方ないなあ」
「怪我ない?」
春奈が心配そうに歩み寄る。
「すりむいたりとか」
「あ、大丈夫」
赤音はそれに答えた。
「怪我はないから。気にしないで」
「よかった」
彼女は平沢赤音という。彼女もまた魔法の塾に通う女の子である。この塾の六年生の生徒はこの五人であった。
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