39部分:第三十八話
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第三十八話
第三十八話 使い魔
「えっ、嘘・・・・・・」
そこにいたのは鳥達だった。それに二羽や三羽ではない。それこそ何十羽もいたのである。
「な、何よこれ」
「何か前に見た映画みたい」
春奈はこの時兄が見せてくれた映画を思い出していた。確かヒッチコックとかいう監督の作品であったのを記憶しているが確かではない。
「下も凄いよ、見て」
美樹が指差すとそこにもいた。先生の屋敷の庭に犬や猫、他の動物達も一杯いたのである。庭だけでなく屋敷の屋根にまでいた。
「先生のペット・・・・・・じゃないよね」
「まさか」
「じゃあこれは」
「そこにいるのは華奈子さん達?」
「あの声は」
見ればそこに先生がいた。普段着らしくいつもの白い法衣ではなかった。ピンクのシャツに白いロングスカートを身に着けている。あっさりとした大人しい服装である。それが先生によく似合っていた。
「どうしたの、そんなところで」
「あ、ちょっと気になったことがありまして」
梨花が五人を代表して言った。
「気になること?」
「ええ、実は」
「ちょっと、梨花ちゃん」
赤音がここで梨花に囁く。
「いいの、言っちゃって」
「いいのよ、別に隠すこともないでしょ」
「そりゃまあそうだけど」
「皆もいいかしら」
「ええ、まあ」
華奈子達三人もそれに頷いた。よく考えればこそこそとする必要もない。五人は梨花を先頭にして先生の屋敷の庭に降りた。そしてあらためて挨拶をした。
「お邪魔します」
「はい」
先生はにこやかに挨拶を返した。
「実は今日は先生に御聞きしたいことがあって来ました」
「何でしょうか」
すっかり普段の授業と同じようになってしまっていた。先生のペースに入っていくのがわかる。
「魔女には使い魔がいますね」
「ええ」
先生はまた答えた。
「絶対いるものでしょうか」
「そうですね」
先生はにこやかに笑った後で述べた。
「殆どの魔女にはいますね」
「じゃあ先生にもいるんですか?」
「はい」
答えは異様にあっさりしたものであった。
「勿論ですよ」
「じゃあ今ここにいるんですか?」
「ええ」
先生の不自然にあっさりした答えは続いていた。
「ほら、ここにいますよ」
「えっ!?」
華奈子達はその言葉にハッとした。そこには彼等がいた。
第三十八話 完
2005・9・5
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