第三十二話 あちこち回ってその十七
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「やっぱりおやつも食べてるのよね」
「お昼の後にいつも」
甘いものもでした。やっぱり。
「食べてますよ」
「それで太らないなんて」
「実は実家の駅まで歩いて行き来してるんですよ」
「それで部活やってなのね」
「そういうことです。身体は動かしてますよ」
「だからかしら」
話を聞きながら思いました。
「そこまで食べて太らないのって」
「最近時間があればおぢばのあちこち歩いてますし」
「おぢばの?」
「面白い場所ですよね」
またにこにこと笑っています。
「あの街って」
「そうかしら。静かな街だとは思うけれど」
「静かだけれど面白いじゃないですか」
私が首を傾げているとこう返してきました。
「色々な場所もありますし」
「おぢばがえりの時は確かに色々できるけれど」
もうおぢば全体がテーマパークになってしまう感じです。とにかく遊ぶ場所が一杯できます。私も子供の頃はそういった場所でよく遊びました。
「それでも」
「楽しい場所ですよ」
阿波野君はあくまで言います。
「学校だって」
「設備はいいけれど」
天理高校の設備は凄いです。プールは屋根がありますしグラウンドは二つで体育館も二つあってそのうえ図書館も立派で。とにかく設備に困ることはありません。
「そんなの楽しい?落ち着くことは落ち着くけれど」
「色々な場所があって飽きないんですよ」
「また色々って言うけれど」
「おぢばですと図書館あったり大きな商店街あったり国道に結構お店ありますよね」
「ええ」
「そういう場所に行くのがいいんですよ」
どうもそうらしいです。
「彩華ラーメンもありますし」
「あそこももう行ったの」
「はい、四月に」
「早いわね」
つまり入学してすぐです。そんなに早いうちに行くなんて。
「それはまた」
「食べるの大好きですから。他のお店も行きましたよ」
「おぢばで食べ歩きしてるの?」
「まああらかたの店は入っていますね」
「ふうん、そうなの」
「詰所の人にも案内されて」
ここでこんなことを言ってきました。
「夜にも」
「あまり夜に出歩くのはよくないわよ」
「そうなんですか」
「そうよ。高校生が夜に出歩くなんてよくないわ」
何か自分で言っていることはお姉さんみたいだって思いました。それでも言わずにはいられませんでした。
「こんなの当たり前じゃない」
「詰所の人と一緒でもですか?」
「当たり前でしょ。高校生なんだから」
とにかくこれは駄目だと注意しました。おぢばは他の場所に比べて夜もかなり安全ですけれどそれでもです。
「お酒とか飲んでないでしょうね」
「外では」
「そう、飲んでないの」
何か引っ掛かる言い方ですけれど。
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