第十八話 新幹線の中でその十四
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「考えてなんだ」
「そうしてくれてるんですね」
「そうだよ、だから君はね」
「はい、その姉さんに応えて」
「無事に女の子になって」
確かな声でだ、岡島は優花に話した。
「そしてそれからはね」
「女の子として生きる」
「そうするんだ、いいね」
「はい、僕も決めています」
覚悟と言ってよかった、ここで決めていることは。
「女の子になってそのうえで生きます」
「そうしてね」
「はい、そうします」
「それじゃあね、それで今から」
「街を出ますね」
「街を出てね」
そしてというのだ。
「それから結構行くけれど」
「そこが療養所ですか」
「そう、結構距離があるから」
「長崎市にあってもですね」
「出来て古い場所だからね」
岡島は少し苦笑いになって優花に話した。
「そうした場所にあるんだ」
「あっ、古いとですか」
「そう、昔の療養所、サナトリウムって言うこともあるね」
「昔は結核の人の為の場所でしたね」
「だからね」
「隔離されるみたいにですか」
「そうした場所にあるんだ」
街から見て離れにというのだ。
「今も結核で療養している人がいるから」
「結核はまだあるんですね」
「あるよ、そして死ぬ人もいるから」
「結核で」
「そう、まだね」
「昔の病気ってイメージありましたけれど」
「根絶はされていないよ」
そこまでは至っていないというのだ。
「あの病気もね」
「死ぬ人が少なくなっただけですか」
「かなりね」
「それだけなんですね」
「実際はまだ死ぬ人がいるよ」
「それで療養をしている人もですね」
「いるよ」
現実にというのだ。
「君がこれから行く、そして僕が務めている場所にもね」
「そうなんですね」
「死ぬ病気は怖いよ」
岡島は遠くを見る目になって話した。
「本当にね」
「そうした病気が一番ですね」
「怖いよ」
また優花に言った。
「何よりもね」
「人は絶対に死にますけれどね」
「うん、けれどその死に至る病気がね」
「一番怖いですか」
「人が死ぬのを見れば」
その時にというのだ。
「わかることもあるからね」
「そうですね、お父さんとお母さんも」
自分が幼い時に経験した別れ、その時のことをだ。
優花は思い出してだ、岡島に話した。
「事故でしたけれど」
「そうだったね、君達姉弟はね」
「はい、親は今はいないです」
「本当に人は死ぬことは絶対だよ、そしてね」
「病気はですね」
「死ぬ病気が一番怖くて」
そしてというのだ。
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