第三章
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「起きろ、起きろ!」
「起きてちゃんと働け!」
「!!」
由貴は部屋に騒ぎながら飛び込んで来たナマハゲ達の勢いと手にある包丁を見てだ、まさに咄嗟にだった。
寝ている娘の傍に跳んでいって、ソファーとソファーの間にあった小さいテーブルを飛び越えてだった。寝ている娘を抱き締めて。
守りつつだ、ナマハゲ達に叫んだ。
「何でここにいるのよ!」
「働け働け!」
「働かんと家の中で暴れるぞ!」
「昼寝ばかりするな!」
「ちゃんと子供を見ていろ!」
羽久が言うことそのままだった。
「さもないとまた来るぞ!」
「怒るぞ!」
こう言うのだった、口々に。
その大声に娘は目を覚まして泣きはじめた、由貴はその娘をあやしつつナマハゲ達に問うた。
「お昼も起きていろっていうのね」
「そうだ、毎日六時間も寝るな」
「どれだけ寝れば気が済むんだ」
「娘を見るのが母の務めだ」
「そこまで寝ないで普通に見ていろ」
ナマハゲ達は由貴に言った。
「わかったな」
「わかったらそうしろ」
「わかったわよ、毎日来られたら小雪ちゃんが泣くから」
今も娘を抱いてあやしつつ言う。
「そうするわ、子供の安眠邪魔されたら洒落にならないから」
「その娘を見守るのが母親だ」
「寝ている娘をだ」
「わかったら寝過ぎるな」
「一緒に飽きる位まで寝るな」
ちなみに由貴は寝ることに飽きない、実は子供の頃から寝るのが趣味でとかくよく寝る人間なのだ。元々。
「また毎日寝過ぎたら来るぞ」
「そして家の中で暴れるぞ」
「わかったから帰りなさいよ」
由貴はまだ言うナマハゲ達に目を怒らせて言った。
「さもないと警察呼ぶわよ」
「妖怪が警察を気にするか」
「すぐに消えてまた出て来てやる」
警察を呼んでも警官が帰った後にというのだ。
「そして部屋の中で暴れてやる」
「おら達は怠け者には容赦しないぞ」
「全く、何で大阪まで出て来るのか」
夫の言った通りにだ、由貴は苦々しい顔で呟いた。その癖のある金髪に右手をやって。娘は左手でしっかりと抱いている。
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