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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【D】
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DREAM(ドリーム)の4人を、小型ワンボックスカーに乗せた。車は急発進した。市内の心当たりを、隈なく(くまなく)探したが、直子は、何処にも居なかった。小型ワンボックスカーは、市内の私鉄の駅前を、通り過ぎようとした時、DREAM(ドリーム)が、叫んだ「直子婆ちゃんが、居る」。直子が改札口で、猫のプリント入りのEKYYNのワンピース姿で、手に、昔の、縫製工場の、傷物のトートバックを持ち、立って居た。直子が「3時に約束したから、ヤッチャン、待っているの。もう直ぐ来るよ。これから、ヤッチャンと、映画を観て、焼肉屋さんに行くの」と、嬉しそうに言った。時刻は、夕方の6時を回っていた。直弘の目から、大粒の涙が流れた。直弘「父さん、今日は、仕事で遅く成るから」と言って、直子を宥め、小型ワンボックスカーに乗せた。直子の指に、ピンクの指輪が、光っていた。
直弘は、直子の、アルツハイマー病に依る徘徊(はいかい)と、子供達の食事が心配になり、翌日から、MARIA(マリア)が、古民家に居る様にした。翌日の昼頃、MARIA(マリア)から、直弘のスマートホンに、電話が有った。「直子の姿が、見当たらない」との、電話だった。直弘は、即、古民家に戻り、MARIA(マリア)と、一佳と、DREAM(ドリーム)を、小型ワンボックスカーに乗せ、私鉄の駅に向かった。駅に、直子の姿は無かった。改札口で待った。1時間程で、直子が現れた。節約主義の直子の、私鉄の駅に来る術は、徒歩だった。直子は例の如く、EKYYNのワンピースを着ていた。直子が「ヤッチャンと、3時に約束したから、これから待つの」と、言った。直弘は、直子を宥め、古民家に連れ帰った。次の日、直子は、炎天下の歩道を、駅に向かって、足早に歩いていた。直子が、言った。「遅く、成っちゃた。ヤッチャン、御免ね」歩道が、上り坂に成った。直子の額か、幾筋もの、汗が流れていた。真夏の歩道の路面に、幾粒もの、汗が落ちた。「すぐに行くから、待っててね。御免ね、ヤッチャン。すぐに行くから。御免ね、ヤッチャン。御免ね、ヤッチャン。すぐに行くから。急がないと、すぐに行くから、すぐに行くから、・・・・・・・」直子の胸に、激痛が走った。直子は歩道に、俯せに倒れた。「ヤッチャン、今、すぐに、()・・・・・」直子と泰弘との、心の愛の糸が、切れた。
昼過ぎ、又しても、MARIA(マリア)から電話が入った。「お母さんが、居ないよ。昼食を、4人で一緒に食べた後、お母さんは、古民家の畑を、耕したり、山羊や鶏に餌を遣っていた」と、MARIA(マリア)は言った。直弘は、急ぎ、古民家に戻り、MARIA(マリア)と一佳とDREAM(ドリーム)を乗せ、小型ワンボックスカーで、私鉄の駅に向かった。直子は、居なかった。しかし、午後の4時まで待っても、直子は現れなかった。不審に思い、直弘は、MA
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