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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【D】
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か、なす術が無かった。直子は「泰弘と、一緒に、住んで遣らなかったから、自分が悪いとか、ヨネ婆ちゃんとキク婆ちゃんの仕事を、手伝って遣らなかったから、自分が悪いとか」極度に、自分を責める様に成った。その上、直子は食事も細くなり、うつ病に掛かってしまった。服役中の泰弘は、鉄格子の外の夜空に、流れ星を見た。泰弘は、不吉な予感を感じた。
或る日、直弘と、MARIA(マリア)と、(かい)と、Mary(メアリー)の4人が、農場に居た。農場の一角に、大きなプレハブ倉庫が、建てて在った。直弘と(かい)が、二人で、市の農業委員会と談判し、農地から雑地に地目を変え、官公庁や学校の、不要となった備品を、収納する倉庫を、市の予算で造った。倉庫は、周辺の市町村からも、多くの、不要となった備品が、運び込まれる様になった。備品は、学習机や本棚やパソコンなど、多岐に亘った。二人は、NGO未来の倉庫を立ち上げた。代表に直弘、副代表に(かい)が就いた。人員は、ボランティアを募り、確保した。初出荷は、フィリピンのMILAI of the houseだった。同好会の仲間達も、集まっていた。学習机と本棚を解体し、国際貨物業者に委託して、船便で送った。フィリピンでの組み立ては、日本人オーナーの明弘が、手配した。次第に、インターネットで、色々な国より、備品送付の依頼が、来る様になった。問題が生じた。海外送付に掛かる運賃だ。NGO未来の倉庫のメンバーが、市内の学校を、全て回り、募金を集めたり、街頭募金などで、海外送付運賃を、賄った。NGO未来の倉庫の活動が、企業の目に止まり、企業からも、募金が集
まる様に成った。さながら、NGO未来の倉庫のプレハブ倉庫は、流通センターの様に成った。倉庫の事務所で、MARIA(マリア)が、海外と、英語でビデオ通信し、Mary(メアリー)が、英文のメールの処理をした。最近、直子の言動に、変化が現れた。意味深や、不可解な言葉が多くなり、物忘れも多く成った。病院で診察して貰ったら、アルツハイマー病(認知症)だった。医師が「老人に、発症率が多いが、直子さんは、未だ、50歳半ばなので、年齢としては早いです」と、言った。直子の持病は、うつ病と、アルツハイマー病の、二つに成った。
その年の、夏の始めの午後3時頃、一佳とDREAM(ドリーム)が、前触れも無く、二人で、農場に現れた。トラクターに乗って、畑で、農作業をしていた直弘が、気付き、二人の処に来た。隣のNGO未来の倉庫から、MARIA(マリア)とMary(メアリー)も、出て来た。MARIA(マリア)が二人に「直子婆ちゃんは?」と聞くと、一佳が「お昼頃から直子婆ちゃん居ない。お昼、食べていない。お腹、減った」と、言った。直弘はNGO未来の倉庫の仕事をスタッフに任せ、大急ぎで、MARIA(マリア)とMary(メアリー)と一佳と
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