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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【D】
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清掃の任務に就く様に」と、言った。3人は茹だられ(うだられ)「分かりました」と、言った。二・三日後、ヨネとキクは、体調を崩し寝込んだ。高齢の二人には、寒空のトイレ清掃は、きつかった様だ。ところが、二人の熱は上がる一方で、9度に達した。不可解に思った直弘は、救急車を呼び、二人を病院に搬送した。病院で診察した結果、二人は、インフルエンザだった。旅行の準備で忙しく、安藤家全員が、インフルエンザの予防接種を、していなかった。その冬、インフルエンザは、猛威を振るっていた。高齢のヨネとキクは、重症だった。二人は、肺炎を併発、相次ぎ他界してしまった。二人の遺品の中から、可なりの数の、手紙と、子供の写真が出て来た。子供の写真は白人、黒人、アジア人など、人種は色々だった。ヨネとキクは、トイレ清掃の給料の殆どを、チャイルドスポンサーとして、寄付をしていた。トイレ清掃で得た金は、清らか金に、変わっていた。二人の死に顔に.安らかな笑みが、毀れ、聖人の様だった。(かい)は、二人の生涯を推測して、感無量だった。直弘と、直子と、(かい)は、二人に合掌し、MARIA(マリア)と、Mary(メアリー)は、十字をきった。二人の葬儀に、泰弘は、現れなかった。
次期を同じくして、安藤家に、JATCのフィリピン支店のスタッフより、一本の連絡が入った。安藤家が、日本に帰国してから、泰弘との電話が、繋がり難く成っていた。連絡は[JATCの東南アジア統括最高責任者の泰弘が、フィリピン当局から、所得隠しの疑いで、拘束され、取調を受けている]との、内容だった。安藤家に、激震が走った。その頃、JATCは、代表取締役・相川一夫が、一線を退き、後任に、一人娘の相川一美が就いていた。一美は、就任と同時に、香港に、ダミーの会社を設立し、社長命令で、フィリピン支店の利益を、ロイヤルティーの名目で、ダミー会社に、送金させていた。東南アジア統括本部の、所得の激変に、注視したフィリピン当局が、東南アジア統括最高任者・安藤泰弘を拘束し、取調べた。結局、泰弘は、法人所得の、隠蔽(いんぺい)の罪で、3年間、服役する事に成った。JATCは、膨大な違約金を、フィリピン政府に支払ったが、代表取締役の一美は、泰弘一人に、罪を被せ、一美は、告発されなかった。船長を失った、JATCの、東南アジア統括本部丸は、迷走した。株価は大暴落、違約金の支払いに、苦慮した代表取締役の一美は、金融機関から、多大な借金をし、窮地に追い込まれた。ほぼ同時期に、JATCのフィリピンでの業績を、注目していた大手商事会社から、吸収合併の話が舞い込んだ。一美が、自分の、役職保全を引き換えに、吸収合併の話を受け入れた。同時に、東南アジア統括責任者の泰弘は、解雇された。折しも、吸収合併した大手商事会社は、昔、泰弘が、内定を取り消された、商社だった。安藤家には、傍観するし
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