渡り鳥が忘れた、古巣【D】
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え、魁とMary(メアリー)は、市役所に行き婚姻届を出した。斯して、安藤家は、9名の、大所帯に成った。夕方、各々の仕事を終えた同好会の仲間達が、古民家に来た。直弘は、フィリピン土産のパパイヤと、ミニチュアのジープニーを、彼等に配った。同好会の仲間達の、演奏が始まった。Mary(メアリー)は、始めて自分の耳で聴いた曲に乗って、魁と、チークダンスをした。彼女は、始めての曲の音色に、うっとりした。ヨネとキクは、10日間の休みを取っていた。公園のトイレ清掃の仕事を、再開した。二人は、休みが長かったので、トイレは相当汚れているのでは、と想像していた。トイレ清掃は、皆から敬遠され、二人の休みの間、代行する者は、いなかった。青年議員の魁は、現場主義だと思い、作業着姿で、二人のトイレ清掃に参加した。1月末で、公園は、小雪が舞っていた。予想通り、トイレは、ひどく汚れていた。ヨネとキクと魁の三人は、公園のトイレ清掃の仕事を、開始した。トイレ内の、落書きや、便器に、こびり付いた汚れや、床に付着したゴミを、取り除く作業は、大変だった。そこへ、公園緑地課の、市の職員が、三人現れた。「市の御情けで、高齢者の二人に、トイレ清掃の仕事を出している。10日間も、休みを取るから、トイレの汚れは、この有り様だ。二人共、もっと、責任を持って下さい」と、市の職員が言った。ヨネとキクは、便器の汚れを取りながら「すいません」と謝った。「貴方達も、傍観していないで、トイレ清掃を手伝ったら?」と、魁が言うと、「このような、部落民がする様な、下衆な仕事は、私達の仕事では、ありません」と職員は、差別用語を混じえ、言った。「下衆な仕事?仕事に、良し悪しが、有るのか?貴方達も、トイレを、利用するだろう!」と怒鳴って、魁は言った。「ヨネさんとキクさんの、賃金は、市が出しますが、貴方の賃金は、負担が出来ません。貴方は、トイレ清掃から、立ち退いて下さい。貴方が、手助けすると、二人の甘えに、繋がります」と、冷酷な口ぶりで言って、市の職員は、公園を後にした。彼等は、作業着姿の青年市会議員の魁を、全く、覚えていなかった。翌日、青年議員の魁は、背広姿で、市役所に登庁した。早速、魁は公園緑地課を訪れた。昨日の職員達と、視線が合った。彼等は背広姿の魁を見て、昨日の公園での作業着姿の男が、市会議員の山田 魁で或る事を思い出した。彼等は、魁との視線を、逸らした(そらした)。公園緑地課長が彼等3人を、個室に呼び出した。個室で3人は、魁を目の前で、課長から、厳重注意を受けた。課長は「職員の差別用語は、停職・減給・戒告に当たる。私も、部下の不祥事で、訓告を受けるかもしれない。今回は、山田魁議員の温情で、私の処で、止めてくれた。3人は、明日付で、1ヶ月公園の、トイレ
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