渡り鳥が忘れた、古巣【C】
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き出しそうな顔で、搭乗手続きの、後部席に座っていた。彼女は、突然立ち上がり、泣きながら「魁、No! No! (駄目!駄目!)」と叫び、魁の腕を、激しく引っ張った。魁は、まるで意味が、理解出来なかった。MARIA(マリア)が、Mary(メアリー)の処に来て、口パクで「Mary(メアリー)は、日本に行きたくないの?」と、言った。Mary(メアリー)の顔が、ポカーンとした顔に、変わった。MARIA(マリア)は、魁が持っている、Mary(メアリー)のパスポートとチケットを、彼女に見せた。Mary(メアリー)の顔が、満面の笑みに変わり、Mary(メアリー)は、魁に抱き付いた。手話と英語が出来ない魁と、Mary(メアリー)との間に、言葉の食い違いが、出来ていた。Mary(メアリー)は、自分が、フィリピンに置き去りにされると、勘違いをしていた。彼女のパスポートは、Miss.MILAI(未来)が、出稼ぎ大国の、この国では、Mary(メアリー)も、いずれ必要になると思い、予め、取得した物を、Miss.MILAI(未来)から魁に、渡していた。ビザは、結婚に依る申請で、青年議員、魁の肩書も役立ち、簡単に取得出来た。片方、泰弘と直子は、暫しの別れを、惜しんでいた。「ヤッチャン、体、気を付けてね」と、直子が言うと「ナオも、元気で」と、泰弘が言った。直子の目に、一筋の涙が、流れていた。搭乗口に入り、直子は、何度も、泰弘の姿を、振り返って見た。直子の、EKYYNのワンピースが、搭乗口の奥に消えって行った。これが、意識のある直子との、最後の別れになった。飛行機は、マニラ空港を、東に向かって離陸した。機内でMary(メアリー)は「昨日の夜は、拒んで御免ね。日本に行ったら一杯しようね」と、燥いで(はしゃいで)いた。直弘は、前途多難だと、思った。直弘は直子を見た。対照的に、直子は窓ガラスの外を、悲しそうに、見詰めていた。外は、暗雲が立ち込めるかの様に、灰色の厚い雲に、覆われていた。直弘は、両親の関係に、やるせなさを、感じていた。
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