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渡り鳥が忘れた、古巣
渡り鳥が忘れた、古巣【C】
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リント入りの、EKYYNのワンピースを着た、直子の、ハガキ大の写真が、置いて在った。部屋の中は、ワイシャツや、肌着が脱ぎ捨てられ、雑然としていた。泰弘は、自分の部屋に、女性が入るのを嫌い、敢えて、メイドも雇わず、服や肌着などは、クリーニング屋か、コインランドリーを利用していた。その上、泰弘の食事は、朝昼晩の全てが、外食だった。直子は、尽かさず、部屋の片付けを始めた。泰弘の多忙を、目にした皆は、仕方なく、泰弘の終業時迄、泰弘のプライベート・ルームで過ごした。孤児院に、テレビが無い事を知った泰弘は、オフィスルームから、家電ショップに電話して、MILAI of the house宛に、テレビを発注した。山積みされた仕事に、一先ず(ひとまず)、切を付けて、泰弘がプライベート・ルームに、入って来た。皆は、日本人オーナー・明弘が経営する、ナイト・クラブに向かった。今日は、明弘がナイト・クラブを臨時休業にして在り、厨房の料理人と、ステージのバンドだけが、出勤
して居た。厨房のフィリピン人の料理人が、見様見真似(みようみまね)で作った、日本料理が運ばれて来た。少々、フィリピン料理に、飽きが、きていた直弘、直子、ヨネ、キク、(かい)の五人は、久しぶりの、和食が美味しかった。英語が出来るキクが、代表で「It is very tasty. Thank you.(とても美味しいです、有難う)」と、フィリピン人の料理人達を誉めると「Thank you very much(有難う御座います)」と、彼等は嬉しそうに返事した。バンドの演奏が始まった。泰弘が、MARIA(マリア)にリクエストした。それは以前、MARIA(マリア)が、ステージで唄っていた光景だった。違うのは、泰弘の目の前に、直子が居る事だった。泰弘は直子と踊り始めた。次に、直弘とMARIA(マリア)が、デユッエットで、Endless Loveを唄った。(かい)とMary(メアリー)が、(かい)のリズム感のみのリードで、踊り始めた。一佳とDREAM(ドリーム)が、大人の真似をして、踊り出した。可愛いカップルの、踊りだった。オーナー明弘と、フィリピン人の料理人が、ヨネとキクを誘い、踊り始めた。最後に、MARIA(マリア)がI'm Sorryを唄い、皆で踊った。直子の目に嬉し涙が流れていたその夜、10時半頃、皆で、ホテルに戻った。泰弘と直子は、マニラでの、最後の愛の絆を、交わした。そして、この夜が、直子の泰弘との、楽しい記憶が、直子の脳裏に残る、最後の夜だった。翌朝、一行は、ホテルのキャフェテリアで、食事を済ませ、ジープニーでマニラ空港に、向かった。昨日の夜から、Mary(メアリー)の表情が、沈んでいた。彼女は、ジープニーの車内でも同様で、笑顔の一片すら無かった。搭乗手続きが、始まった。Mary(メアリー)は一人、今にも、泣
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