渡り鳥が忘れた、古巣【B】
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彼の表情が、者悲しく映った。マネージャーに聞くと「彼は日本の貿易会社、JATCの専務で、東南アジア統括責任者の安藤泰弘さんだ。この店のオーナーとも、同郷で、面識がある人物だ」と、教えて貰った。MARIA(マリア)は、自分の唄を聴いてくれる、日本人のファンの出現に、嬉しかった。
給料の殆どを、Miss.MILAI(未来)に仕送りしていたMARIA(マリア)は、DREAM(ドリーム)を養うになると、生活が次第に困窮する様になった。彼女はMiss.MILAI(未来)に電話を掛けた。Miss.MILAI(未来)は、優しく「貴方の行動は立派です。でも、愚痴を零しては、いけません。お金が無いと言っては、いけません。途中で止めては、いけません。自分の行動を、諦める事は簡単です」と、言った。Miss.MILAI(未来)の好きな唄が、MARIA(マリア)の脳裏を、横切った。MARIA(マリア)は、のオーナーに相談した。既に、MARIA(マリア)の、窮状を察していた日本のオーナーは、自分の郷里のナイト・クラブに、シンガーとして、出稼ぎに行く事を薦めた。MARIA(マリア)は、熟慮した上、再度、電話でMiss.MILAI(未来)に、相談した。Miss.MILAI(未来)は「オーナーの紹介なら、大丈夫」と、言ったMARIA(マリア)は、養子のDREAM(ドリーム)と一緒に、日本に行く事を決断した。親子二人のビザ取得は、全て、オーナーが対応してくれた。
二人の乗った飛行機は、マニラ空港を離陸し、一路、成田に向かった。機内には、十数名の、出稼ぎのフィリピ―ナも乗っていた。窓際席のフィリピ―ナが、二人に席を譲ってくれた。フライトが始めての二人は、食入る様に、眼下のマニラ市を見ていた。
午後、成田空港に到着した。入国手続を済ませ、二人はフィリピ―ナ達と共に到着ロビーに現れた。DREAM(ドリーム)の首には、ピンクのキティのポシェットが、掛かっていた。フィリピ―ナ達は、日本が始めてでは無い様で、挙動が手馴れていた。ロビーに、芸能プロダクションの、二人のスタッフが、彼女達を出迎えた。プロダクションが用意したワンボックスカーに乗り込み、彼女達は、滞在場所に向かった。到着した滞在場所は、十畳程の、ワンルームのアパートだった。室内には、風呂と台所と、二段ベットが二つ有り、他に、テレビと洗濯機が備わっていた。この部屋に、フィリピ―ナ三人と、MARIA(マリア)とDREAM(ドリーム)が、同居する事になった。部屋は小奇麗で、マニラの小さなコンドミニアムに居たMARIA(マリア)には、充分だった。プロダクションのスタッフから、携帯電話が渡され、利用に関しての、指示が有った。「MARIA(マリア)の仕事は、昼間の弁当屋と夜のナイト・クラブの仕事で、明日から出勤して貰う」と、言い渡された。
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